ボランティア甲子園

朝日新聞投書オリジナル原稿
1995.2.10(金曜日) 朝日新聞朝刊 「声」の欄に一部修正後掲載

桑名市 溝口勝 (大学教員 35歳)

 兵庫県南部地震は私たちに都市型災害の恐怖を思い知らせている。そして避難所生活を強いられている人々をテレビで見ると、何か役に立ちたいという気持ちがこみ上げてくる。全国の多くの方がこうした気持ちを即座に行動に移し、ボランティア活動に従事している。しかしその一方で、同じような気持ちを持っているにもかかわらず、学期の途中ということで行動できない高校生も多いのではないだろうか。

 いま春の選抜甲子園を実施すべきか検討されている。被災地での開催は無理との声もあると聞く。しかし、私はこういう時だからこそ実施すべきであると思う。甲子園には全国各地から多くの選手や応援団が集まる。応援はなにも野球だけである必要などない。母校の野球の応援と同時に、被災地の方々への応援もできるであろう。 高校生は全国各地からの義援の使者である。特産品をバスに積んで甲子園に乗り込み、その帰りに阪神地区で1日勤労奉仕する。これぞ春夏全国高校ボランティア甲子園である。

 おっと、そこのキミ!行くのは結構だが帰省時には阪神地区からの「ゴミ」みやげを持ち帰ってヨ!


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