農学における情報利用ゼミナール演習
食の流通現場見学会(2008.8.5-6)


見学場所


レポート課題

見学会に参加した感想および情報利用の可能性について考えたことをA4で2-3枚程度にまとめて、下記メールアドレスに送ってください。レポートの提出順に掲示してあります。提出したのに掲示されていない場合にはお知らせください。レポートが届いていない可能性があります。

締切: 2008年8月月31日(日)
提出先: reporter@iai.ga.a.u-tokyo.ac.jp


講義の感想

  1.  農学国際専攻 森林環境社会学研究室

    (1)見学会全体の感想
    2008年8月5日〜8月6日にかけて実施した表記見学会については、勤務終了後大学での講義に参画、見学の合間の仮眠時間にも業務関係の報告書作成、一睡もせずにゼミを終了し、そのまま出社、更に1日の業務を終了した後、顧客との宴会、というハードなスケジュールであった。 日程だけを考慮した場合、やはり社会人学生には無理のあるスケジュールで、若い学生以上にタイトなゼミナールであった。さすがにもう一度、といわれれば次回は不参加というであろう。

    (2)見学会の内容
    とは言いつつ、内容についてはモノの本に書かれているものではなく、非常に勉強になった。確かにロジカルに考えれば東京工科大学の江原さんが指摘されていた通り、日本の農産物の安全性の方がよほど危うい状況にあり、それに対しては、現段階では「農家の良心」に任せるしかない状況を鑑みれば、日本の農産品の安全神話も懐疑的なものとなる。
    現在、小生の所属する野村総合研究所も農林水産省や都道府県の委託をうけ、日本の農産品を「安全・健康」を切り口として海外に売り込んでいくためのビジネスモデルの策定を実施しているが、このスキームの基盤となる日本農業の安全性も非常に脆弱なプラットフォームであることが理解できた。農林水産省も言うに及ばぬ縦割り組織で、海外への輸出促進を行う担当部の職員はこのような事実を知る由もないが、このようなシステムの抜け穴(ループホール)は、農林水産省を挙げて取り組むべき課題であることを弊社としても更に訴求していくことが重要である、ということを認識した。
    東京青果株式会社の増田さんには相当世話になった。隣で若い学生とのやり取り(私は老齢の学生なので)を拝聴していると、同じ質問が何回も投ぜられ、その度に同じお答えを返していらっしゃる姿にプロフェッショナルの姿勢を感じた。具体的な企業名とそのオペレーションの内容については、非常に興味深い情報であったが、とりあえず忘れることにする。現場に即した実務的なノウハウは、ネット検索や文献調査では得ることのできない貴重なものであった。特に理解を深めたのは以下に関する情報である。

    ・ 相対取引と競りのシステムとオペレーションフロー
    ・ スーパー、量販店、一般小売店の調達方法の違い
    ・ 中卸の機能とコンペティティブ・エッジ、求められる人材像
    ・ ビジネスとしての採算性、安全率の見方
    ・ 流通のおける人間的な(義理人情が必要な)部分、即物的な部分

    次に今回視察した大田市場内での情報化についてであるが、人件費や消費者の声とのトレードオフとして、市場内の情報化について検討する必要があるが、実際大田市場内のオペレーションで稼動している人達が、現在の作業に加えて更に電子情報の入力、読み取りの時間的余裕、更にその必要性があるとは思えない。流通における情報化を更に推し進めるには、まず需要者側(消費者)からの声が必要である。ただ、前述した通り、日本の野菜は安全、並んでいる野菜はその日の朝収穫したもの、という考え方を当たり前に受け入れている現在の状況からでは、そのような声の発現を期待するのは難しい。

    (3)農学の情報利用について改めて思うこと
    消費者の「思い込み」を利用して情報開示を遅らせる、というのが流通に携わる大手資本家サイドの戦略なのかもしれない。当然、情報化には相応のコストを伴うからである。一方、地産地消にほぼ近い消費形態をとっている地域では、大手スーパーがある地域に比べかなり鮮度が高く、安全な食料を消費していることになる。 今回学んだこと、特に「我が国の食料の安全性と生鮮性に関する疑問」に関する情報が更に伝われば、いよいよトレーサビリティに関する消費者側のニーズが顕在化してくるだろうと考える。逆に「トレーサビリティ」という言葉だけが先行し(弊社のようなシンクタンクでも同様)、何をトレースすべきかの明確な必要性に基づいた根拠が希薄であったため、今回の見学ではそれが明らかになっただけでも充分な成果であった。

    スーパーで売られている野菜は、本当は安全か鮮度が高いかさえわからない。→ 流通をトレースするシステムが必要。

    左側の消費者への問題提起の部分は、それこそ研究者や我々シンクタンクが取り組むべき部分で、食の安全を追及するための第一歩となろう。また、上記の流れがうまく進めば、再度地方の時代がくる。それは大手流通企業が全国から集荷される農産物のトレースシステムを構築している間に、最も安全で鮮度の高い食品を都市の消費者は志向し、地方でそれらを購入するからである。そうなると大手スーパーであっても必ず次代を制覇できるとは限らなくなる。ちょうどあのトヨタが売り上げを落としていく昨今のように。 //以上

    【Fri, 08 Aug 2008 15:38:43】

  2. 大田市場へのさらなる発展に寄せて    (農学国際専攻 博士課程3年)

     8月5日、6日は大変お忙しい時間をさき、しかも徹夜で案内していただいた増田氏にはまことに感謝したい。自分は、長年大田区に住んでおり、大田市場という名前自体はずいぶん昔から知っていた。しかしながら、実際に大田市場というものを見たことは一度もなかったので、これをチャンスに是非見てみようという好奇心から今回の大田市場見学ツアーに参加させて頂いた。
     
    (1)率直な感想
     夜中の見学によって、何百種類もの非常に多くの農作物が全国各地から寄せられ、広大な大田市場の敷地に所狭しと並べられ、それらの商品が非常に効率よく決められた位置に配置されていることが分かった。そして、早朝の見学によって、それらの商品がごく短時間で、これまた効率よく小売業者により販売、せり下ろされて次々と運ばれていく様子が見られた。フォークリフトや荷物を運ぶ人々に戸惑いや迷いはなく、非常にスムーズに物が運ばれ、商品がこく短時間でせり下ろされていく。非常に無駄のないこの見事なシステムに、正直感動すら覚えた。日々、常に日本各地から新鮮な野菜や果物がスーパーや八百屋に並ぶことに、疑問に覚えたことは少なくないが、この日の見学によって、その疑問が見事に解消された。流通における卸売業の中間マージンも8.5%、7%と思いの他わずかであり、売り上げてから三日後には農家に還元するという非常に早い決算のシステムも見事だと思われる。まずは、それだけ見事な流通システムを確立した大田市場の方々に敬意を表したいと思う。
     もし太田市場を始めとする高度にシステム化された中央卸売市場が東京に存在しなかった場合、すべての小売業が独自に農家や農協と取引しなければならず、まず現在のような多種多様な野菜や果物を利用することは無理であろうし、様々な無駄も発生してきてしまうと思える。この卸売りのシステムがないと、大量に輸送できなくなってしまうため、流通における無駄も大きく発生してきてしまうだろう。よく、途上国では、仲買人によって農家が農作物を買い叩かれることがおきる。しかし、このシステムにおいては、農作物が比較的適切に価格設定され、農家もきちんとした収入が得られているように思われる。

    (2)末端消費者への情報掲示
     上記のように大田市場が都民の食の安定を図るため多くの重要な役割をしているにも関わらず、我々消費者は大田市場のような卸売り業者の努力をほとんど知らない。まずは、もっとそれを知るべきだと思った。また、市場側も、見学などの形で築地市場のようにもっと一般市民に開放して欲しいと思う。大田市場見学を観光ツアーとして広く募集するとか、小中学生の社会科見学、大学の授業の一環などで実施する等である。詳しい市場の仕組みが分からなくても、朝7時から行われるセリのシーンは大変見応えがあると思われる。また、大田市場において消費者が多種多様な品種を目にすることで、「あ、こんな品種のスイカがあったんだ!」 「あまりなじみがなかったが、この野菜を今度食べてみたいな。」そう思うことで、青果についてより興味を持ってもらえればと思う。また、その時に見学者に、多くの人々にとって、新しい品種の紹介、調理方法などを市民に直接提示したほうがいい。大田市場で、新しい野菜や果物の品種を積極的に見学者に紹介して味見もしてもらってはどうだろうか?

    (3)現在の卸売業の問題
    確かに今のシステムは、単純に決められた青果を効率よく売りこなす作業を行うにはちょうど良い。しかし、消費者から離れすぎてしまっている。確かに、昔は小売業の八百屋が消費者との間に非常に強いコミュニケーションをとっていた。そこで、消費者との連携は小売業に任せればよかった。しかし、スーパーの台頭によりそれができなくなってしまっている。
    さらに、増田さんは、昔と比べ、小売業の形態が変化したことにより、小売業に携わる人々の青果の選別、保管に関する知識が疎かになっている。その結果、値段だけで青果の購入を判断してしまい、青果自体の良さが消費者に伝わりにくくなってしまっていて残念だとおしゃっていた。ただし、八百屋から大型スーパーへ、小売業が変わっていくのは時代の流れであると思う。自分も、食材を購入する際に、八百屋、肉屋、魚屋、総菜屋と歩き回るよりも、スーパーですべて購入してすませたい。今更、昔のような八百屋を中心とした青果の販売形態に戻りはしないだろう。そこで、卸売業自身も変わる必要があると感じた。まず、大田市場の見学をより開放し、小売店舗に対して、大田市場の見学を社員研修の中での重要項目にするよう働きかけるべきだろう。旬の野菜、食べごろの野菜の見分け方、新しい品種の紹介などを、小売業に積極的に行うべきである。消費者向けに、野菜や果物の保存方法、食べごろの判別方法、おいしい調理方法を教える本や雑誌を出版したり、講習会を開いてはどうだろうか? (以下 果物ナビ 参照)に類似したサイトで、より詳しいサイトがあればよいと思う。野菜や果物を生で扱い、調理することの魅力を知ってもらい、もっと野菜や果物を直接利用してもらう。それをする専門の部署を立ち上げる。

    このように、高額の野菜や果物を購入してもらうには、それそうおうの魅力を示せなければならないだろう。大田市場が、直接野菜や果物の直営店、インターネットによる個別消費者への通信販売などを経営してはどうだろうか。もしくは加工食品会社を運営してはどうだろうか? 売れ残った果物や野菜で、野菜ジュースを作ってはどうだろうか。また、家畜用の餌であるエコフィードを作製する(以下 エコフィード 参照)、有機肥料を作成して農家に還元するなどはできないだろうか。

    卸売会社も、大手小売業や仲卸が販売した青果を実際消費者がどれだけ購入しているかという情報を入手できないだろうか。農家に、市場ではどのような作物が求められているかをこまめに伝えるべきだろう。そして、新しい品種改良にもその情報を役立てるべきだろう。また、直接末端の消費者からのニーズや意見を積極的に集めた方が良いだろう。どんな品種の野菜や果物を消費者が求めているか、卸売業の立場から、もっと積極的に消費者の声を集めてはどうだろうか。 

    (4)より効率的な青果流通
    他の食品に対して、野菜や果物は、小売価格がとても高いように思われる。卸売の1.5倍-2倍ほどの値段で消費者に届く。青果は日持ちせず、大量に廃棄せねばならず、廃棄する分の青果の値段が直接上乗せされているからだろう。ただし、他の食品と比べた場合、青果そのものの小売価格の高さが、青果の消費量を引きさげているように感じる。廃棄する分を減らすことが、より青果を安く消費者に供給する方法である。 そこで、高価な果物に関しては、ダンボールに、品質、サイズ、産地などの情報とともに、収穫日について記入する箇所を設けられないだろうか。その情報があれば、食べごろが何時なのか、何時ごろまでに販売すれば良いのかの目安がつきやすくなると思う。これらのデータをすべてバーコード化しようという試みを江原先生がなされているようであるが、規格がバラバラで統一するのが困難と聞いた。それならば、普通にアナログにダンボールに書き込んでも良いものと思われる。 後々には、江原先生の言うようにすべてをデジタル管理して、毎日の青果の消費動向をコンピューターで予測し、その日その日における収穫量を卸売市場から農家へ、あらかじめ連絡することが出来ればより効率よい青果の生産、流通が可能になるのではないか。

    果実の成熟に関わる植物ホルモンはエチレンである。そこで、エチレンの果物からの放出量を検出することで、青果の食べごろを判定してはどうだろうか? (以下 食べごろおしらせセンサー 参照)また、このメカニズムを応用して、果物に対するエチレンの効果を抑制して果物を日持ちさせることや(以下 エチレンガスについて 参照)、エチレンガスを果実に散布し成熟を促進することも可能ではないかと思われる。

    果物ナビ
    http://www.kudamononavi.com/

    エコフィード
    http://mf-kikou.lin.go.jp/topics/topics.htm

    食事バランスガイド
    http://j-balanceguide.com/

    食べごろお知らせセンサー
    http://www.snt.jp/news/press/2006/200601trn.html

    エチレンガスについて
    http://www.chemistryquestion.jp/situmon/shitumon_kurashi_igakuseibutsu18_fruit_ethylene.html

    【2008/08/11 (月) 18:13】

  3. 「食の流通現場見学会」に参加して(東京工科大学コンピュータサイエンス学部) 

     私がこの見学会に参加した理由は2 つ,1 つは,我々が寝ている間に市場で何が行われているかに興味 を持ったため,もう1 つは,私の研究のテーマが,RF タグによる食品のトレーサビリティについてであ り,実際の流通拠点でのモノの動きを,現場を通して知ることで,RF タグの適用方法を検討するためで ある. 見学会へ参加する以前は,市場のイメージとして青果の種類ごとにきちんとセグメント化された小規 模の場所が集合した状態を想像していた.しかし,参加してみると,1 つ屋根の下の広い場所に膨大な数 の青果が置かれており,その規模の大きさに驚いた.また,市場内は慌ただしく,トラックの出入りや 荷物の運搬が頻繁に行われており,時間との戦いが行われ,それはまるで戦場のように感じられた.こ の規模と慌ただしさの中で,RF タグのユーザメモリの操作が可能なのか.
     私の研究では,トレーサビリティの実現のため生産物が通過する各拠点で生産物につけたRF タグのユ ーザメモリにタイムスタンプ(拠点への到着時間,出発時間)と拠点の情報(所在地)を書き込むことを考え ている.しかし,大田市場のような膨大な青果が次々と入荷する拠点の場合,特に,RF タグのユーザメ モリへの書き込みには時間を要するため,おそらく全てのRF タグに正確にデータを書き込むことは難し いと予想される. ただ,この問題さえ解決されれば,単にトレーサビリティが実現されるだけでなく,市場内の業務の 円滑化にもつながることが考えられる.多くの青果物には,内部管理用のバーコード(図1)が見受けられ たが,その形式は乱立しており,市場では何の役にも立たないものとなっている.
     
     
    図1:様々なバーコード表示

     このバーコードの代わりに,出荷される青果すべてに, RF タグが貼り付けられ統一した形式でデー タが書き込まれていれば,市場内でこのタグを使った管理ができる.これにより,市場内の問題点とし て上がった,多くがアナログで成り立っていることによる業務の不効率について解決できるともいえる.
    [問題と解決]
     @ 青果物が並べられた場所から,仲卸業者の元へと運ぶ際,業者はカップにサインをしてから回収箱に 入れ,後にその箱を市場側で回収し,帳簿で確認するという作業について.(図2) 仲卸業者の場所へ青果を運んだ際に,その場所に設置したRF タグリーダで,青果に付いたRF タ グを読み込み,自動で仲卸業者と青果の情報を帳簿に反映させる.
     A セリの際にセリ落とした人の情報等が手書きであることへの対応. セリの際,帽子の番号で業者を判断している代わりに業者にRF タグを持たせて,このタグを,セ リを補助する人がRF タグリーダで読み込むことによって業者を判断した後,続けて青果のRF タグ を読むことでセリ落とした業者と青果を登録する.
      
    図2:カップとその回収箱

     これにより,手書きをすることがない上,デジタルデータであるのでその後の管理が容易になるだけ でなく,前述したタイムスタンプにより,市場に入ってしまうといつ収穫されたものか判断できないと いう問題も解決できる.
     これらの提案のように,大田市場のような大きな規模の市場では取引そのものを変えることは難しい と考えられるが,RF タグの利用によって大きな可能性を秘めていると言える. この見学会を通して,既存の仕組みを大幅に変更することなく情報化が可能になるRF タグへの書き込 み方法や青果における流通過程の複雑さへどう対応するかなど,自分自身の研究の再考や新たなる発展 につながる非常に良い機会となった.
    【2008/09/02 (火) 0:42】

  4. 市場へのRFID 導入に関する検討(東京工科大学コンピュータサイエンス学部) 

     今回の大田市場の見学から、食品のトレーサビリティなどで、近年利用が検討されてお り、私の現在の研究テーマでもあるRF タグやそれを利用したゲートシステムなどの導入は 思った以上に難しいと感じられた。
     農作物は農家から出荷する際に箱詰めされ、それが一度大田市場などの市場に出荷され る。市場に入荷された農作物は、一度指定された場所へと置かれる。仲卸を経由して企業 ごとに入荷された農作物は、パッキングの作業等が行われ、店頭に並ぶことになる。 R
     FID システムで一般的に考えられているネットワーク依存型のシステムでは、ネットワ ークの設備を整える必要があり、大田市場のように広大な土地を持つ卸市場では、このモ デルは不適切であると考えられる。そこで、ネットワークに依存しないために、RF タグの 中にデータを読み書きするシステムも考えられるが、今回の市場の見学により、このモデ ルも非現実的であるということが考えられた。一番の理由としては、段ボールなどを移動 させるターレの速度がRF タグへ読み書きを行う速度よりも速い点である。ISO/IEC 18000-6C では、RF タグへの読み書きにかかる時間は図1のようになっている。読み込み は0.09 秒だが、書き込みは2.3 秒となっている。移動するターレが2 秒も静止していると いうことは見学中に見ることができなかった。
      
    図1 ISO/IEC 18000-6CRF タグのアクセス速度 図2 トラックによる荷物の搬入

     また、物流を管理するために導入が検討されているゲートシステムでは、RF タグがつい た箱を持った人がゲートを通る時に読み取るというもので、そのゲートは人が5 人同時に 通れるぐらいの大きさ、高さを想定しているが、実際には、市場の中まで、大型のトラッ クが入ってきて荷物を出していた。(図2)そのため、想定されているゲートシステムでは全 く利用可能な場所がないということが確認できた。
     今回の市場見学により、市場の現状とRFID システムで想定されている環境が一致して いないということが確認できたことは、研究活動をする上でプラス材料になると考えられ ます。このような機会を得ることが出来たことに深く感謝します。
    【2008/09/02 (火) 0:42】

  5. 大田市場見学会レポート(東京工科大学コンピュータサイエンス学部) 

     大田市場を見学するにあたって知りたいと思っていたことは、食品のトレーサビリティ の現状と市場で商品につけられているバーコードについてであった。 市場を見学する以前から、一部の大手食品メーカーなどを除き農作物に対する、出荷の ロット情報の管理は、流通全般ではまだ独自の形でしか行われていないことを聞いていた。 当研究室が携わっていた農水省のプロジェクトでは、農作物の出荷のロット情報に2 次 元バーコード等の共通書式を使用し、その情報を共有する体制を実現するという動きがあ ることを知っていたが、現状で実現されていないのはどうしてか、実現するにあたり何が 障害になっているのか、説明だけでなく市場を自分の目で見て理解するために、今回の見 学会に参加した。
     実際に市場を見学して思ったのは、運ばれてくる商品の量がとてつもなく多いというこ とである。大田市場に到着したのは夜の9 時ぐらいであったが、その時点で多くのトラッ クが確認でき、はじめに見学した11 時の時点ではさらにその数が増していた。市場の中も 搬入搬出で人の動きが活発であり、常にターレやフォークリフトが行き交う状態であった。 大田市場の増田さんから、私たちが一般に知っている早朝のセリよりも先に、その前日 の深夜にほぼ取引を終えているところがほとんどであることを説明していただいた。市場 に置かれている大量の商品は、各業者がチェックして市場側にそのチェックリストを渡し て知らせるシステムにはなっているが、信用で済む部分も多くあるらしく、直接監視管理 されていないことを知った。
     商品のバーコード管理については、販売単位で管理できない理由として、市場に出回る 商品の量が多く、数時間のうちに市場から出ていく商品もあるため、全ての商品1つ1つ をバーコードでチェックするのは時間的に難しいと思われた。また、各業者の信用で取引 されている部分もあり、国内の農作物に対し、ロット情報についての関心が少ないのも問 題だと思われた。
     昨今、食品の安全について、中国の農薬や国産偽装などの問題が取り上げられているが、 これらは農作物が生産されて消費者に届くまでのルートの一部分の問題でしかなく、消費 者もその末端部分しか意識していない部分がある。さらに国産であるということが消費者 に安心というイメージを与えている部分もあり、そのため個別ベースでの出荷ロット情報 を管理するシステムが市場に反映されていない理由になっているのかもしれない。食品の 安全を本当の意味で確保するには我々消費者が食の安全とはどういうことなのか正しく理 解することが必要であり、今後出荷のロット情報も注目されなければならないと思われる。 今回、大田市場を見学して、市場のシステムや消費者に食品を提供する小売店がどのよ うな考えを持ち、どのような傾向があるかがよくわかった。 もしまた機会があるならば今度は国内輸入品の市場も見学したい。
    【2008/09/02 (火) 0:42】

  6. 太田市場を見学して(東京工科大学コンピュータサイエンス学部) 

    近年、食の安全安心が重要視されて久しいが、安心安全のために行われている対策は 本当に「安全安心」に繋がっていたかを考えてみた。 今回の見学で感じたのは、生産者がわかる=生産者の顔が見えるからといって、全て の責任を生産者に押し付ける事ができるのかという事だった。市場に流通する青果物には 様々な業者・人間が関わっている。太田市場一つ見ても商品がたくさんの業者と人の前に さらされるため、問題が起こった際原因の場所を特定するのは困難に思われた。 おいしい・安全を標榜した野菜・果物が様々なブランドとして供給される一方で、ブ ランドの商品だから安全でありおいしい事が確立されているのかといえば必ずしもそうで もないらしい。ブランドの産地であっても日のあたる地形・日のあたらない地形などの条 件により果実の出来も違うにもかかわらず、産地にしてみれば出来の悪い商品もブランド をつけてしまえば高値で売れるというのである。今回の見学で感じたのは肝心なのはブラ ンドではなく、よい野菜を選ぶ目とおいしく料理する腕であるのではないかと私は考え る。
     今回、太田市場を見学して感じたのはシステムが人力と信用に依存しているという事 である。驚くほどアナログな方法でさながらフリーマーケットの会場のような雰囲気で あった。そして、情報よりも商品を捌く事が優先されるという空気も感じられた。 毎日大勢の人が関わり、食品が流通しているにも関わらず市場の大半は赤字であるら しいと聞いた。野菜の市場は必要不可欠であるのに対し、流通システムが赤字で問題だら けというのはとても残念であり、大きく変革しないとならない業界であるとも感じられ た。
     今後、消費者の立場で大きく変えていかなければならないのは、食育の観点であると も言えるだろう。ブランドや見た目だけでなく野菜や果物の知識・調理方法などを知る事 で食べ物に対する考え方を変えていかなければならないし、企業は商品を販売するだけで なく、そのような知識を伝える伝達役をする事が必要であるのではないかと考えた。
    【2008/09/02 (火) 0:42】

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amizo@ mail.ecc.u-tokyo.ac.jp
Update by mizo (2008.8.11)