国際農業工学22
担当教員: 溝口勝・荒木徹也 (農学国際専攻/国際情報農学研究室)
【講義】金曜日13:15-14:45 オンライン講義
出席カード-->https://forms.gle/zoUAwq4JtGrCbvdK7
【感想210415】
- 日本の農業において、玄米流通が他国にないユニークな部分であり、玄米流通を行うことによって品質向上へのインセンティブが上がり、農民の社会的立場や農工業の発達にまで影響を与えたということが重要だと思った。
- 収穫したお米を籾ではなく玄米で販売するために農村で開発された技術が日本の農村の経済発展と農業工学技術の礎を作っていたという説は初めて知ったことなので非常に興味を持てた。
- 米は技術的には的には籾流通のほうが合理的だと言えるかもしれないが、玄米流通にすることで農民は農協などを通じ機械等で米の品質向上をする意欲が芽生えた。
- かなり些細に見える仕組みの差も社会全体に大きな変化を与える可能性があるというのは興味深いと感じた。農業開発の世界においても、包括的に農業工学などの分野を捉えて大きなインパクトを与えうる些細な差を見つけ出せると面白くなると感じた。
- 籾流通と玄米流通には大きな差異があり、日本は海外と異なる玄米流通で発展していった。
- 日本の米の流通の歴史に見られるように、商品販売の効率だけではなく流通方法が人々や共同体に与える影響も考えることが重要であると思った。
- 一見短所が多いように見える玄米流通にも意義があるということ。
- 日本の玄米流通は農民に長い作業工程を要求するほか、「純」技術的には利点に乏しいが、品質改善の誘因を与えたり、農協の結成をスムーズにするような協業の規律と協力の慣習を強化したりするという大きな意義を持っていたということ。
- もみ殻を取って玄米とする技術が日本で発展できたのは、うるち米がインディカ米に比べて短く砕けにくいことによって起きた、ある意味偶然の産物であると考えることもできること。
- 日本における玄米流通様式が農民にもたらした恩恵(技能的・知識的・コミュニティ形成的)
- 農業に関して時系列的に、民間の視点、政府の視点、技術的な視点などいろいろな視点で見ることが重要だと思った。
- 農家が収穫後に籾粒を玄米に加工するか否かという選択が、精米や農業技術の発達にいかに貢献するか。技術的な利益の側面だけから評価することはできないと感じた。
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- 玄米流通と籾流通で形態が大きく異なること
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- 私は祖父母が米を作っていたので、生産者が脱穀や精米をするのは当たり前だと思っていたが、他の国では違うのだと初めて知った。日本の高品質なコメは、湿潤な気候だけでなく様々な要因が関わって生み出されているのだと思った。
- 日本の農民は起業家だったといわれる。この理由は(渋沢栄一がそうであったように)日本の農民が江戸時代に商品作物栽培やそれからできる製品を販売し、商業が発達したためだ。今回の講義で、そうした農民の野心的な特徴は教育的バックグラウンドに玄米流通があったことを知り、驚くとともに納得した
- 技術的な視点に立った場合、玄米より籾の形で流通させた方が合理的と考えられるが、日本の農業史では、農民によって籾摺りが行われた後、玄米の形で流通してきた。このことが農民の共同体強化などをもたらした。
- 日本では、収穫したお米を籾のまま販売せず、玄米にする必要があるということ。
- 収穫したコメを、籾の状態ではなく玄米で販売するという形態が、各農村内で保存技術や精米技術を上げ、近代の農業技術の礎になったということは初めて知ったので興味深かった
- 短期的な技術的要請だけで物事を考えると、見落としてしまうものがある
- 籾で売るか玄米で売るかでその国の農民の社会的立場や、機械化の速度が大きく変わるというのが面白いと思った。
- 技術的には利点に乏しい玄米流通が、農民の品質向上のインセンティブを間接的に刺激していたということは非常に興味深かったです。
- 籾摺りを農民が行うというひとつの作業の違いが、農民に学をつけ、向上心を持たせ、農民同士の協力を促した。
- 江戸時代から近世にかけて籾摺り器具などからなる栽培後に使用する器具の重要性が大きく増したこと。
- 食品の加工・保存・流通などの農業工学の意義や、技術進歩が社会・経済に及ぼす影響の大きさについて(良い影響、悪い影響を含め)
- 日本における玄米流通の意義は、コメの品質が一目瞭然であることで生産者である農民に品質改善のインセンティブを与え、結果として農民の知的・技術的向上につながった点と、零細な農家個人ではできない籾摺りを共同で行うことで協業の上での規律と協力の慣習を発達させ、お上との対等な地位を可能にし、戦後の農協結成にもつながった点にある。
- 米の流通形態にの違いが米の品質向上に繋がるという部分は興味深かった。玄米での流通が日本の教育までに影響を与えたというのは、それだけ稲作が当時の人々にとって、生活、人生の大きな部分を占めていることを表していると思ったが、その因果関係が成立するかは少し疑問に思った。
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大学院農学生命科学研究科・農学国際専攻
東京大学
Last Update 2022/4/15