環境修復学22@岩手大学

担当教員: 溝口勝(東京大学)

【講義】2021/10/26-27
時限:水3,4,5コマ, 木1,2コマ


【講義の質問・コメント】

木2コマ

  1. 震災によって汚染された土壌をもとに戻すことはとても難しいというのを教わったことがあるが、土壌再生技術の中にIoT土壌センサによる技術があり、具体的なIoT技術の使われ方を知ることができた。また、福島の土壌再生に取り組むだけでなく地域の農業全体の再生を考え、福島のニーズに合わせた中山間地域の小規模スマート農業技術の開発などについても記載があった。あとはIoT技術をどのように情報基盤整備に取り入れて地域ごとのニーズに合わせていくのかが重要になると思った。
  2. ソーラーパネルの設置する向きを工夫することで積雪時にでも使用できるようにしていることが印象に残った.砂砂漠や砂丘などのパネル上に砂が堆積することで発電効率が落ちてしまうような地域でもこの仕組みは活用できそうだと考えた.
  3. 土壌の放射能汚染に関して、私は岩手県南出身地のため、身近な人が被害にあっており、特に自分事のように感じられた。特に椎茸づくりをしていた叔母は生業そのものを無くしてしまっており、現在でも完全な復興には至っていない。資料で示されていたような取り組みは、除染と同時に肥沃度の低下も招くものの、モデル改善も進んでいるため、私の扱っている地域でも取り入れていきたい。
  4. 復興の農業工学というのは今回の授業で初めて聞いたので何となくでも知ることが出来たので良かった。土地を除染し終わった後にはあまり影響がないと思っていたけど実際は排水不良なども発生するということを知ることが出来てよかった。
  5. 震災の地域の出身なので地元で行われていた農地の再生を思い出しました。私の地域は放射線ではなく津波による塩害だったのですが、土を掘り返したり似たようなことをしていたみたいでした。農地の再生は新しく始めるチャンスという話もありましたがまさにその通りだと思います。私の地元の時もやめてしまう農家さんもいれば再生をきっかけにしてさらに事業を拡大した農家さんもいたそうです。みんながみんなできるわけではありませんが、逆境を跳ね返すような力も必要なのだと思います。
  6. 復興農学の除染後の肥沃度向上だけでなく、カーボンニュートラルなど、災害前以前よりも多くの環境問題を解決するというのは面白いと感じた。また、復興後に戻る農家の人は新しい技術を受け入れると講義の中であったが、昔の土地に戻るということは、昔の環境のまま農業をしたいという考えを持っている人もいるのではないかと考える。
  7. 福島の放射汚染された土地を除染した後、人々の不安をデータを用いて証明しながらどう活用していくかは今後の大きな課題、チャンスだと気付かされた。関西にずっと住んでいたこともあり、東北に住むまで東日本大震災を身近に感じることができなかったので震災復興のために行われていた活動の1つを知ることが出来て良かったです。
  8. 原発事故をきっかけに新しい農業の形をつくりだしており、事故を悲劇で終わらせないことが必要だと思いました。また、IoTを高齢者見守りシステムにも活用していたことが興味深かったです。
  9. 復興農学についてここまでスポットを当てたお話を聞く機会はあまりなかったが、被災地に農家が戻ってくるためには農地の整備は必須であり、土壌の肥沃度も重要になってくる。そのため、除染後の土壌再生に向けた研究は需要があり、土壌中の環境をIoTで数値化したデータは今後の土壌再生において多くの発見があることが分かり、興味深かった。また、ソーラーパネルは積雪の多い期間にも設置角度や通信時間を工夫することで設置・使用出来るということを学び、ひと工夫で今まで無理そうなことを可能にできると分かった。
  10.  1コマの感想を聞く場面では暗黙知という言葉が印象に残った。暗黙の了解は存在するが知られていないことも多いので言語化することが難しいと感じた。  原発後の行動でセミナーに大学関係者が関われないのが意外だった。飯館村の80歳でiPadを使いこなす方が凄いと思った。Resilienceが素敵な言葉だと思った。復興を考えた時に適する言葉だと思う。
  11. 2コマで印象に残ったことを一言でいうと、飯舘村の復興、すなわち環境修復をしていく際には農業工学と農村計画的アプローチをした成果である。具体的には、農業工学の分野からは除染した農地の問題に対して課題を実行し、農村計画的の分野からは帰村後に向けて地域創生、産業再生ができたと知った。環境修復といわれると、農地のようなハード面が思い浮かぶため、農村計画という言葉が出てきてハッとした。
  12. 震災後の福島県の汚染土・除染土の問題は、IoTが大いに活躍する場だとわかりました。土の肥沃度は人の目で見てわからないこともそうですし、何より被害の範囲が広大だからです。IoTを用い、土壌状態の現状を各地で調査し広く共有する事で、問題の解決に向けたアプローチ・アイデアが増えたり、加速したりすることが期待できると思います。  また、「復興農学(RESILIENCE AGRONOMY)」の言葉が強く印象に残っています。震災から11年たった今、日本の多くの人の間では、過去の問題として風化しつつあるとの事でしたが、私は今でも続く問題だと感じています。多くの研究者や活動団体の活動のおかげで、最悪の状況から少しずつ復興し、その過程で蓄えられた知を基に、さらに先を見据えた取り組みがなされている事がわかりました。それには、Resilienceの表現がぴったりだと思いました。
  13.  「土から離れて生きてはいけない」というフレーズから、ますむらひろしのアタゴオル物語シリーズの中の短編「未来は砂でいっぱいか?」を思い出した。この短編ではすでに滅んでしまった文明の遺跡から何かが封印された遺物が登場する。封印されていたのは「土を殺す菌」。非常に栄えた文明であったが、滅亡した原因は不明。その滅亡した原因というのがこの「土を殺す菌」だったという話だ。文明の滅亡の原因としてエネルギー資源の枯渇などが挙げられることはあるが、「土」という部分に着目しているのが興味深かった。アタゴオルは教訓的な話や風刺的な話が多い。彼が何を思ってこの作品を書いたのか、改めて後書きにも目を通したいと思った。私は父親の影響でますむらひろしの作品を小さな時から読み続けていて、それが大学進学にあたって今の学部学科を選ぶ遠因にもなった。
  14. 福島の例を聞いて、災害や何か問題が起こった場合には農業土木、食料生産の基盤整備の分野に真っ先に取り組まないといけないとということが感じられた。また、除染後も農家のモチベーション維持や肥沃度の再生など様々な課題が残っていること、コロナにより震災の意識が低くなってきている現状はその通りだと感じた。また、福島ではこの震災をきっかけに新しい農学とカーボンニュートラルを掛け合わせた農業がおこなわれつつあることがわかった。うまくいくと福島が日本の最先端の農業になるかもしれないと考えるとすごく夢のあることをしていると感じた。
  15. 福島の農業復興が楽しみながら考えられていることがわかって良かった。除染で出た汚染土の再利用についても気になった。
  16. 飯舘村の山村モニタリングの例で、動物たちの行動や生育状況を把握するのに使えそうということで、自分が配属された研究室では野生動物のことも取り扱っていたので研究につながりそうだなと思いました。
  17. 飯舘村に設置されたWi-Fiカメラに写っていたサルの群が鳴き声も聞こえて可愛かった。災害等の被害を受けて土壌環境が悪くなっている土地に戻ってきたときに農業ができるようにすることも環境修復である。その際にも迅速な復旧のためにはIoTが活かされている。IoTが調査などに使われることはもちろん、これから日常の農業に導入されることを考えるとこれから農学部に入学する人たちはもっとコンピュータ系を学ぶのかもしれない。

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大学院農学生命科学研究科農学国際専攻
東京大学

Last Update 2022/10/31