SRI水田のモニタリング

東京大学 大学院農学生命科学研究科 mizo研



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現地作業日誌:2009
(6.9)  (6.15)  (6.22) 


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 現在、東南アジアを中心に、イネの大幅な単収増加をもたらす低投入持続的稲作技術SRI(System of Rice Intensification)が普及し始めている。この技術は,1983年にマダカスカルで発明され,1999年以降広く世界で知られるようになった。SRI稲作の基本原則は,移植の際に乳苗(10日くらい)を広い間隔で1本植えし,間断灌漑を行うことである。この方法で植えつけられた苗は,分けつがよく,1つの株から多くの茎が育つ。また,穂のもとになる幼穂が茎の中にできるまでは,田面に水を張らないので,節水もできる。この方法により,15t/haの収量を得たという報告もある。これまでに約20ヵ国で実証試験が行われ,多くの発展途上国で普及が進みつつある。(佐藤:東方インドネシアにおけるSRI稲作の経験と課題,根の研究,15(2):55-61,2006)
 しかし,科学的な根拠に欠けているという論争もある。IRRI(国際稲作研究所)の試験圃場では成果が得られなかったとして,この結果をもとにNature(2004)に批判記事が出たこともある。それ以来,一部の作物学者の間では,SRIをタブー視する風潮もある。しかしながら,SRIは農薬や化学肥料にあまり依存しないので,貧しい農民でも取り組むことができ,水資源に乏しい地域でも実践できる可能性がある。また,田んぼに水をためないので,地球温暖化ガスであるメタンの放出も抑えられる。食料自給率のアップと地球温暖化防止とが両立できるという点で注目すべき農法であるといえる。
 SRI農法の秘密は,地温変化の少ない熱帯でイネの根が水ストレス条件下において強化されることにあると思われる。しかし,果敢にもその方法にチャレンジしている日本の農家がいる。そこで,本研究室では,この水田にWebカメラ・気象計・土壌水分計を設置し,水ストレスとイネの成長をモニタリングしている。

J-SRI研究会  mizo研