農業生産技術と国際協力2024
このページは、受講生のレポートを共有することにより、講義を単に受けっぱなしにせず、自分の考えを主体的に表現し、自分とは異なる視点もあることに気づくことで、より深みのある講義にすることを目的に作成しています。
2024.10.10 講義資料
2024.10.17 講義資料 (Zoom)
この講義を受講した理由
- 国際協力と農業との関係に興味があるから
- 途上国に関する研究を行う中で、農業のもつインパクトの大きさを知り、この講義に興味を持ちました。
- 修士課程の研究において、インドの農村地域に住む女性の貧困削減取り組みについて調査したいと考えています。農村地域を調査するにあたって、自身が持つ農業関連の知識が少ないと感じているため、この講義を通して、農業についての知識を身につけたいと思ったからです。
- 日本以外の、アジアの農業生産技術の現状を知りたいと思ったから。
- 国際協力の中で農業分野の存在感は大きく、食料生産にも大きく関わると思うから
- 国際協力学文脈で、ソーシャルインパクトのあるプロジェクトの具体的内容、評価方法、技術のリターンなどを考えたいから
興味のある国はどこですか?それはなぜですか?
- 中央アジアの国々、特にウズベキスタンとキルギスタン
- カンボジア、ポルポト政権下で多くの文化や知識が失われた状況から復興をとげている国であるから。
- インドです。インドにコネクションがあることと、女性の相対的な貧困、女性労働者の多くが非正規労働力として働いていることなど女性の貧困要因が多くあり、女性の貧困問題を考察するにあたって調査しやすい地域だなと考えたためです。
- インドネシア。実習でオイル工場の見学などをして、他の農業はどのようになっているか知りたいと思ったから。
- タンザニア、興味がある東アフリカ地域の国で知り合いの方がおり渡航経験があるため
- インドネシア GDP規模
10/10のレポート課題
ARDECの記事「農業農村開発の技術を考える」を読んで、その重要なポイントをUTOLに提出せよ。
1.はじめに─農業農村開発の技術とは何か
I think in this case the study of 農業農村開発 does not simply means connecting the word agriculture and rural area together, it means a more dynamic relationship of adopting new technologies in accordance with local needs. The study of 農業農村開発 is closer to a field of engineering which focuses more on satisfying potential need of rural areas with respect to their unique local culture and situation. As described in the essay, that people living in rural areas and metropolitan areas have fundamentally different thinking patterns, and due to different geological and cultural circumstances, though both living in rural areas, farmers in Southeast Asia and Japan could have very different needs. Especially with the distinction of culture and civilization, I think what is really important for this study of 農業農村開発 is to fully grasp the actual need of local rural communities through understanding the unique local culture.
2.農家の二男からみた、日本の農業農村における技術の変遷
The 田植えmentioned in the essay reminds me of my experience in my local rural area. The farmers there will not use combined harvester for corn in the Autumn, they will only use the tractor to mow down all the corn and leave it in the field, then is the time to call the neighbors and relatives to manually harvest all the corn. This communal harvest is really one best side of pre-agricultural-equipment life in rural areas. The various fields of knowledge a farmer needs to understand are side of the traditional agricultural life, though it was finally change by the introduction of JA. What I find to be rather surprising is agricultural production change in the 1970s. As a person who grow up in China, where the food security is often stressed as the same level of national security, it is really hard for me to understand agriculture policy which was framed out in business logics. I guess the previous rice shortage in Japan could be a side effect of the 減反政策?
3.農業工学の技術との出会い
I think the important points in this paragraph are two, the distance between the study of agriculture and the actual agricultural production in the author’s local area. Then the turning point came after joining Mie University, where they realized agricultural civil engineering served broader public purposes, not just farmers. This shift in understanding was influenced by debates with colleagues and their exposure to practical research environments that differed from their initial academic experiences.
4.海外における農業農村開発
The important point in this part is the author’s experience in the Southeast Asia, that even though live in every different places, the farmers in Southeast Asia and Japan still share a lot of thinking patterns in the same. Introducing the rather high-end technology during the time to rural areas in the Southeast Aisa could be a new opportunity for developments of local rural communities. But as we discussed before, every technology is essentially double-edged, the author also worried about whether the introduction of new technologies to this community a good thing is.
5.農業農村社会における技術の普及速度
The author reflects on the impact of agricultural technology, noting it has alleviated manual labor and freed up time but requires careful, gradual implementation to avoid societal and environmental issues. Lessons from Japan's rapid post-war industrialization highlight the importance of balancing local conditions when introducing new technologies in developing countries. Sustainable rural development involves combining low-tech and high-tech solutions, ensuring technology integrates naturally into existing societal structures and meets community needs. The success of technological adoption ultimately depends on local community engagement and acceptance.
6.農業農村開発の先端技術利用と通信インフラ整備
The information technological revolution brought great change to the traditional ways of conducting agricultural research, as illustrated in case of Fukushima rural communities, high-definition videos could be gathered on-site and transferred to universities or research institutions through internet. We might face a new agricultural revolution with this new technology introduced with relatively low cost globally, but finally what matters is still the actual need of the local rural communities.
7. おわりに─農業農村開発の技術者教育
The author emphasizes the importance of agricultural development engineers understanding both the local community needs and applicable technology. As head of the Department of Global Agricultural Sciences, the author explains initiatives like fieldwork, project-based learning, and international research opportunities to foster diverse graduates capable of contributing effectively to global agricultural development.
1.「農業農村開発の技術」の定義
「農業農村開発の技術」は農業および農村を開発するための手段と定義できる。
≒農業を営む人々、あるいは農村に住む人々の生活に役立つような手段
・技術は文明としては農業農村社会に導入できても、文化レベルでは導入できない。
→「文明は誰もが参加できる普遍的なもの、合理的なもの、機能的なもの」であり、
→「文化は特定の集団位おいてのみ通用する特殊なもの。普遍的でない。」から。
・農業農村開発の技術とは何かという問いに答えるにはまず、農業農村の人々の本音を把握する必要がある。
・農業農村で生活する人々の本音を正しく把握するためには、文化まで踏み込んで理解する必要がある。
→ 現場の声に耳を傾け、解決すべき正しい課題を設定し、農業農村の生活者の役に立つ手段を提供する責任がある
2. 農業技術の変遷?6. 先端技術利用を読んで
*農業農村の人々の本音を把握するためには、技術導入・普及の際の心構えについて:
先生が小さい頃は、農作業にでは共同労働の形態があり、また、集まりや祭りなどの地域での交流も多くあった。また、農家は村内での相談役を担い地域の紐帯にもなっていた。のちにシステム化された機構が設立され、農業機械の導入も行われた(新技術の導入)。新しい技術の導入は、過去にあった共同労働という技術を衰退させ、農業による地域の紐帯を弱めていったことが伺える。現在では、GISやドローンなどの先端技術や通信インフラの整備により、新たな技術導入が進もうとしている。これらの技術導入によって、例えば、農作業についていうと、監視コストが低下することによって、生産規模の拡大につれて生産効率が低下するという逆相関の関係を持つ、規模の農業の相関関係を変容させ、規模と生産性に性の相関をもたらす可能性が現れてくると考えられる。すると、小規模で運営していた家族農業は淘汰されていき、農村や農業の在り方、家族の在り方にも大きな変化をもたらすだろう。つまり、技術の導入によってその地域の生活(世襲的な農業など)や、農法などの文化に大きく介入してしまう可能性があることが想像できる。技術導入により農業の規模が拡大することは、現地での雇用拡大や、生産性の向上などをはじめとしたメリットもある。しかし、日本の農業農村において、地域の紐帯が弱くなっていったり、過去に見られた風景(祭りや集会など)が失われていったり、薄れていってしまう側面もある。そのリスクを把握し、説明し、会話することが必要なのではないかと感じた。先生は、文中において「現場の声に耳を傾け?提供する責任がある」とおっしゃっている。ここで私は、(例えば)困窮している農村部の人々が選択肢を提供され、「今ある暮らしが改善されるが、かわりに地域のあり方が変容するかもしれない(文化の希薄化?)」と言われた際に、どれほどの人が自らの生活を犠牲にして、文化を守る道を選ぶのかという点について興味深く感じた。先生が、農村部での技術普及プロジェクトなどを行なった際に、開発技術が文化へ与える影響の為に、現地の人々の合意をとることが難しかった事例などがあれば、是非お伺いしたい。
本記事にて私が考える重要なポイントは、「技術は文明としては農業農村社会に導入できても、文化レベルでは導入できない。」そして「技術の普及にはある程度の時間が必要である。急速な技術の導入は環境の破壊をもたらし、社会の混乱を招くことになる。」という2つの部分だと考えた。
記事内にあった1960年代後半からの日本の農村における耕作機械の本格導入とその後の農業の公害、生産調整などが発生したことからも分かるように、何か技術が導入されるとその土地の人たちの生活は大きく変わることもある。もしくは導入しようと思っても、廃止されてしまうこともある。また、最終的に良いと思って実施したことが、長期的に見ると悪い結果をもたらしてしまうということもある。
この記事にもあるように、海外の農業農村開発を考える際に注意しなければならないのは、「その地域の現状を正しく分析し、どの技術をどの順番で誰に普及させるかということ」で、そのためには一見無駄に思えるような人に対する気遣いや建前と本音を見分ける力などの、定量化できないスキルも必要なのだなと感じた。
また、「対象国には既存の技術がある」ということも農村開発の前提で認識しなければいけないポイントだと感じた。支援やプロジェクトを実施する側という文脈で対象国に相対すると、技術というものはないと思ってしまいがちだが、実際はその技術に立脚して、社会が成り立っている。そこに新技術を導入することで何が起こり得るのかを中長期的な視点で考え、実際に現地において関わる人・働く人の本音に耳を傾け、しっかり事前に技術の導入方法を準備する必要があるということが重要だと理解した。
また、「導入した技術が根付くかどうかは、結局、そこに暮らす人々に依存する。」ということも非常に自身の研究分野と関連していて考えさせられた。自身が研究している分野は、東アフリカのモバイルマネーだが、こうした技術も今やケニアやタンザニアのほとんどの人に利用されており、こうしたニーズがあるところに正しい技術が導入された場合、うまく普及し経済的にも一定の消費増加効果があるということがわかっている。
自身の研究分野に限らずではあるが、技術と対象国の文化理解に関しては非常に大きな興味があるので、この講義を通してさらに学びを深めたいなと思う。
「農業農村開発の技術を考える」を読んで重要だと思った点は3点ある。
1つ目は、新技術の導入には現地の文化や生活をよく理解し、現場の声に耳を傾けることが必要不可欠であること。
2つ目は、新技術の導入が環境破壊や社会混乱といった負の面を引き起こす可能性があること。
3つ目は、持続可能な技術普及には、既存技術とのバランスを取りつつ段階的で柔軟な技術導入が必要であること
の3点である。
一つ目の「新技術導入には文化や生活をよく理解し、現場の声に耳を傾けることが必要不可欠であること」は、実際に飯舘村の農家の方に協力していただいて自分の実験を行った経験と照らし合わせて、重要に感じた。実験装置を飯舘村に設置し、農家の方に実際に使ってみていただいたが、作業工程の煩雑さについてたくさんの意見をいただいた。何度も現地を訪ね、この作業工程は負担が大きい、農家の方の生活との両立を考えると作業を行う頻度を見直したほうがいいなど様々な課題を現地に行くことで聞くことができた。メールやLINEなどの連絡手段はあったものの、農家の方々は見てもない人にわざわざ連絡はせず、これらの課題は現地にいき、農家の方々と実践することでしか知りえなかった課題に感じる。
二つ目の「新技術の導入は正の面だけでなく環境破壊や社会混乱を引き起こす負の面も起こしうること」は、今までよく考えたことがなかった分、重要であると感じた。自分が大学で現場と離れて農業技術の研究をしていると、いかにこの技術が役立つかということ正の面ばかり考えてしまう。私は、農学は理学や工学よりも特に現場に導入されて意味がある学問であると考えている。そんな農学に携わる者として、技術導入の際に起こりうるよいこと、悪いことを想像できるようにしておかなければならないと思った。
三つ目の「持続可能性な技術普及には段階的で既存技術とバランスのとれた柔軟な技術導入が必要であること」は、新技術と既存技術が二者択一ではなく、相互に協力し合えという考え方が重要であると感じたため、特に重要だと考えた。飯舘村で実験装置を設置し現場での改良を行う際、農家の方のアドバイスにとても助けられた。ずっとその地で農業を営んできた人々の知恵は、大学で研究をしている自分には思いつかなかった事ばかりであった。その経験から、現場の知識や既存技術を軽視せず、新技術と融合させることで、より効果的な結果が得られることを強く実感した。現場の知恵と新しい技術が共存する形で導入されることで、技術普及はよりスムーズに進み、持続可能な発展が可能となると感じた。
最後にレポートの趣旨とずれてしまうが「農業農村開発の技術者は、対象とする「農業農村社会の本音」と「適用可能な技術」との両方を知っている必要がある。また、細分化されてしまった農学全分野の最低限の技術に通じていなければならない。では、そうした技術者をどのように育成したら良いのであろうか─これは難しい問題である。」という農業農村の技術者育成に関して私の考えを述べたい。
溝口先生は、農村の日々から技術の導入の過程まで見て育ってきた経験があり、「農業農村社会の本音」を経験的に理解してきた。それに対して、農業機械の導入が当たり前になってから育ち、農業従事者が減っている今の時代の農学部学生(もちろん私を含む)は、溝口先生が肌で感じとってきた「農業農村社会の現場」を知る機会がほとんどない。それにもかかわらず、授業の座学や実習では、農家の仕事のスケジュール(年間、一日)、マネタイズ、どの作業が大変と感じるか、収量・土地の規模感、どんな課題があってどんな解決策があるなどの農業農村社会の現場を知る機会はなかったと感じた。農家のもとで生まれた溝口先生にとっては、当たり前で大学で学ぶことではないと思うかもしれないが、水産、林業、畜産、畑作、水田農家の直接の話を聞く機会が大学1年もしくは、農学部に進学したタイミングであったら、その後の授業カリキュラムや研究でもっと「適用可能な技術」を自ら考えることが出来たと思う。
課題文献を読んで、私が最も重要だと感じた部分は、「導入した技術が根付くかどうかは、結局、そこに暮らす人々に依存する」という点である。
国際協力や開発学を学んでいると、援助が現地の人々にとって本当に必要なものなのか、それとも先進国のエゴによる一方的な支援になっていないかという論点が、度々議論される。農業技術についても、農業機械の部品が調達できず維持管理が困難になるため、結局は使?されないという問題が生じている。
農業に従事し、地域の慣習や文化に根ざして生活してきた?々にとって、新しい技術を導入し、それを維持し続けることは?きなリスクとして捉えられる傾向がある。私たち先進国に住む?々のように、?常的に?きなリスクを感じることが少ない環境では、新しい機械を導?することも?きなリスクには感じられない。しかし、貧困状態にある人々は、避けられるリスクは避けたいと考える傾向が強いように感じる。そのため、先進的な技術を取り?れて数年後に収穫が増えるよりも、現状の慣れている?法で今すぐに収穫を増やすほうが、リスク回避の観点から最善策と考えるだろう。
しかし、将来的な収入増加を目指すには、先進的な技術の導入は不可欠である。技術の利点や将来性を農?に分かりやすく伝えることはもちろんのこと、政府などからのトップダウンの支援も不可欠だと考える。例えば、農業機械導入のためのコスト支援(マイクロファイナンスなどの融資)や、維持管理のための技術者派遣などが挙げられます。農?が技術導入に際して直?する障壁をいかに低くするかが重要であり、コストやサポート体制については現地政府が担うべきである。そうした体制のもと、私たち先進国の?間が現地の人々と協?し、現地の状況を踏まえたうえで、これまでのノウハウを活かし導?のサポートができると考える。
私の見解は授業や書籍から得た知識に基づいていますが、最近の途上国における先進技術導入の障壁について、最新の状況を知りたいと思っている。最近では、小さな村でも多くの人がスマ ートフォンを所有し、情報網が整備されている。これにより、以前より技術導入への障壁が低くなり、従来の伝統的な慣習も影響?を失ってきているのではないかと予想している。最近の状況について詳しい方がいれば、知見を伺いたい。
1. 農業農村開発技術の役割
農業農村開発技術は、農業の生産性を向上させ、農村の生活環境を整備するために用いられる技術である。これには、水の管理や土壌改良、地域資源の持続的利用が含まれ、地域社会の発展に貢献する。技術の導入には、地域特有の風土や文化を理解し、適切な方法で応用する必要がある。技術は単なる手段ではなく、社会全体の持続的な発展を促進する役割を担っている。
2. 技術の導入と普及の課題
技術の導入には、現地の生活様式や文化に合った適応が必要である。急激な導入は社会的混乱や環境破壊を引き起こす可能性があるため、慎重に進めることが求められる。現場のニーズを正確に把握し、既存の技術を応用するか、必要であれば新しい技術を開発して対応することが重要である。技術が定着するには時間がかかるため、住民がその技術を受け入れて活用できるよう支援することも重要である。
3. 技術者の教育と現場理解
技術者は、単に技術を理解するだけでなく、現地の生活や文化を深く理解する必要がある。農業農村の課題を解決し、持続可能な発展を支援するためには、現場のニーズに即した技術を提供することが求められる。技術者の育成には、現場での実体験やプロジェクトベースの学習が効果的であり、これによって実践的な知識が身につく。また、現地住民との協力関係を築き、技術の普及と定着を促進する役割を果たす。
10/17のレポート課題
下記の講演を見て、あなたが2050年までにやってみたいことをまとめて提出しなさい。
中村哲氏の記念講演 (32’) 【京都環境文化学術フォーラム】(2017年2月11日)
提出されたレポート:
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みぞらぼ, 農学国際専攻, 農学生命科学研究科, 東京大学)
mizo[at]g.ecc.u-tokyo.ac.jp
Update by mizo (2024.10.10)