総合討論−2
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2000年3月15日現在>
こちらは、発言者や発言内容が不明な部分が多く含まれます。できるだけ自分が発言したと思われる箇所は、積極的に訂正してくださいますようお願いします。
(溝口)ありがとうございました。各著者から反省や裏話などをご披露していただきました。次に質疑応答に移りたいと思いますが、議論の方向を明確にする意味で、土のコロイドとか土壌コロイドといったものを
私なりにとりまとめた図をお見せしたいと思います。今日の講演で長崎さんが、いわゆる核物質、プルトニウムとかそういうものが実は単体で動くのではなくて、何かにぺたっとくっついて動いていくということをおっしゃいましたが、そういったコロイドのとらえ方、すなわちキャリアとしてのコロイドということをひとつのキーワードにしてみると、意外にこれから整理してもっとやっていかなくてはいけない部分が出てくるだろうと考えてとりまとめたのがこの図です。それは大体3つのパターンに分けられます。1つは、界面化学とか表面化学の知識を使って、粘土とか腐植といった、いわゆる吸着されるものの性質と、そこにぺたっとくっついてしまう吸着する物質、例えばダイオキシンであるとか残留農薬であるとか放射性同位体であるとか、との関係を明らかにする分野です。
第2は、足立さんがもともとこの辺に関心があるのだと言っていましたが、コロイドの沈降分離やレオロジーのようなマクロな性質とコロイド間の凝集分散現象のようなややミクロな性質とをつなぐ話です。さらに、それらが沈降して、例えば海成粘土のように、いろいろな形でいわゆる普通の土になっていく過程や、泥として下にたまったものが堆積してコロイドそのものがさらに大きな塊になっていく過程を攻めていく方法もあると思います。すなわち、コロイド化学と水理学あるいは土質力学を結びつけるような、コロイドの成長過程を扱うような分野です。
それから3つめが、1番目や2番目とも関係したアプリケーションのひとつとして、やはり何らかの形で環境汚染防止策につなげる分野です。例えば、土壌物理ではこれまで水の動きを主に扱ってきましたが、最近では物質移動を扱う機会が増えてきました。そうした中で、キャリアとしてのコロイドが地下水流として動く、あるいは亀裂を通って動いていくということを何らかの形でとり入れていく必要があるだろうということです。基礎的なメカニズムに加えてアプリケーションまでを含めて、土のコロイド現象をとりまとめていけたらいいだろうなということで、7月の会合のときに、このまとめの図を作成しました。ですから土のコロイドというのは、農業サイドに対するプロダクトを出す以外にも、土木工事の方に役立つような方向や、あるいは、環境科学や環境問題に貢献するような形でプロダクトを出すことを目標に、一領域としても十分やっていける可能性を秘めていると思います。こういう考えを先に出してしまうと議論をせばめてしまうかも知れませんが、私自身は土壌のコロイドについてのこうした考えを提案したいと思います。ですから、この考えを否定するのも結構ですし、これにさらにつけ加えていくのも結構です。いずれにせよ、そういうことを意識しながら、各執筆者に対する質疑応答の時間にしたいと思います。
では、著者に対して順番でもいいし、ランダムでもいいし、この辺をもう少し説明してほしいというところがありましたら手を挙げてください。著者以外の方が発言する場合には所属と名前を言っていただきたいと思います。順番に行きましょうか。ではまず、その1に対して何か物申したい人がいますか?(しばらく間)では、ランダムでも結構です。
(原口) 長崎さんに質問です。その9の
60ページぐらいのところを詳しく聞きたいと思います。放射性廃棄物というか、化学物質は全部わかるんですが、UO2体がぶつかりますね。きょうのイントロでもありましたが、最初の予想では、こんなに遠くに移動しないはずが、実際には1,000倍ぐらい移動していたという話がありました。質問の第1点は、最初の予想ではというのは、どういう仮定で計算していたのかということです。きょうの話ですと、要するに正荷電を持っているので土壌中に吸着されることによって、移動が遅延するというのが最初の仮定であったのかということです。それから第2に、1,000倍運動をしたということは、氷のキャリアという話がありましたが、荷電がなくなったという影響なのか、それともどういう影響なのか。後の方の移動計算で、浮遊分散みたいなそういう考え方が必要になったてきているというのがアメリカの方の理解にもあるのかどうか。長く移動したということに対する物理的メカニズムとして、どういうものをアメリカの人は考えているのかということです。(溝口) はい、では長崎さん、お願いします。
(長崎) 最初、持続したというのは、いわゆる吸着する割合が高いわけです。液体トマスとかザツプロですと、とにかく遅延係数があって、遅延係数に対して変わらないで、保持されるものは、遅れてくるということ。それと全く同じ原理で、遅延係数を求めることをしているのです。実験室で遅延係数を求めているわけです。それがいわゆる移流拡散方程式の中に入れれば、いつ出てくるかというのが出てくる。入れなくても遅延係数が求まった段階で、どれだけ動くかというのは予測がつく。それはほとんど、実験室レベルでわかったということです。大体、それで合います。簡単 ます。それはなぜかと言うと、先ほど さんがおっしゃっていたように、正荷電を持っているということで吸着する。あるいは、中性になって比較的くっつきやすいということで、可能ということが言われていることからきています。実際に アダムズとかカーソンの のとき使っている現象というのは にくっつくことによって、イオン自身が持っている電荷は完全になくなって、それよりも粒子が持っている電荷、例えば、非鉄酸化物と地層の方も非鉄酸化物だとすれば、同じ電荷を持っているわけで、当然くっつかない。反発されている影響で、微粒子は速く、地下水とともに動いているわけです。そういう現象なんです。これを具体的にイリューサッター方程式で解けるのかどうかということに関しては、例えば、かなりの仮定を入れれば、先ほどの簡単なものでは、S字形 には合います。合うのですが、本当にそれでいいのかということについては、まだ全くわかりません。そこはもっとこれから研究していかなければいけないというか……。
(原口) 今のお話ですと、荷電特性がコロイドというか、有機酸みたいなものと大きく変わるというのは1つのポイントですよという理解で、大きな間違いはありませんか。
(長崎)そういう意味ではそうです。
(溝口)ありがとうございました。
(溝口??)今の説明でわからなかったのですが、例えば、イオンカラムとか何とかのときに、ウランなどは単純にそれだけでイオンクロマトの中を例えば、ウランだけを移動させて、その速度をはかるのですか。先ほどの説明にあったように、別のものを使えば、有機酸をくっつけた状態ではかることも可能なのですよね。
(長崎)そうです。もともとはこういう現象が見えるまでは、コロイドに対することはなかったのです。だから基本的にカイフザイから出てきたら溶ける。溶けるイコールイオンでいると。イオンでいればそうなりますよというのが、まず頭の中にあって、1つは先ほど言われたように、カラムを通したときに遅延ということで遅延結合とか、もう1つは、ビーカーの中に粉砕した岩石を入れて、そこに例えば、ウランの溶液を入れて、吸着平衡 に達すれば吸着の分配比が求められる。その分配比と岩石の密度と空隙率が求まれば、遅延係数がやきなおすことができる。ですから、遅延係数を求めて、評価するというところまでやる。
(溝口??)ということはつまり、欠けていた点は、ウランの溶液を土に入れてカシャカシャと振ったものをやってみれば、全然違った結果が出る可能性があるわけですね。
(長崎)ウランとそれからそこへ粉砕した…フミン酸とか…。
(溝口??)実際の土のところへ、カシャカシャと振った溶液をやって、ウランの出方を見ると、その時点では、もうイオンではないというのか。
(長崎)その可能性は十分ありまして……。
(溝口??)その検証はしていなかったわけですね。
(長崎)そうです。それで実際にやってみたら、それによって遅延係数は下がるということがわかってきたわけです。
(大坪) その場合、コロイド物質がどういうものかという特定まではまだいっていないのですか。
(長崎)現実にはどこで見ているのかということがわかれば、大体わかります。例えば、ロスアラモスだったら、シリカ系であるとかというものが出ている。それからドイツとかアメリカの、ヨカマウンテンだったら 系であるということはわかっていますが、例えば、だから日本は ですかと言われたら、それはどこにするかということを決めてもらわないとわからないというのが答えです。
(大坪) コロイドの種類によっては、地域の地層、土、土壌とかいうものによって規定される部分もあるのではないですか。
(長崎)そうです。
(溝口)今の点はよろしいですか。
(飯山)東大大学院のイイヤマと申します。長崎さんへの質問なのですが、長崎さんの
62ページの方で、式がYaoらの論文に載っているというのが出ていますね。これは少し興味があるのですが、この微分方程式を解いた後、エルがゼロのときの濃度というのは何か名前とかはついているのですか。(長崎) 私はこれをまだ詳しくは……。
(飯山)これを少し解いてみると、到達距離がゼロのときの方もありそうではないですか。だから、何かどんどん濃度を高くしていってあげると、カラムの中に入っていかなくなるということになってしまうのかと思ったのですが。
(長崎) 恐らくそういうカラムの整わなくなるということもあります。個体の方の充てん層の数値とか。例えば、化学実験で石英を充てんしたところにコロイドを流すと、先ほどのようにふだんより速く出てくるというのが見えたのですが、例えば、そこにデートライトを詰めて、これは流れませんでしたが、入れてしまうと、完全に表面 全部とまります。ですからそれは、結果を見るだけでは吸着なのか、いわゆる原子とは別枠な、ただの吸着なのか、あるいは単に通り道が小さいから詰まっているだけなのかというのは、当然いろいろ重なって見えているのだと思いますが。そういうふうに、組み合わせによっては全く通れなくなることは当然あります。
(飯山)これをあまりよく読んでいなくて恐縮なのですが、化学実験は、やはり飽和して、上からある濃度のコロイドを流し込んでいくと考えていいのですか。
(長崎)飽和というのはどういうことですか。
(飯山)飽和というか、カラムの水分量……。
(長崎) カラム内は完全に水で飽和された状態にして流します。
(飯山)それでもやはり流れないときがあるのですか。
(長崎) それはあります。
(飯山) わかりました。
(溝口) ほかには。はい。
(大井) その8の担当は、中石さんと藤井さんでしたか。
12式と13式ですが、これは最近の外国の人が提出した式を使っていますが、1950年代に日本の森・乙竹さんたちが、ものすごくいい式を出している。考え方もきちっとしているから、そちらに変えた方がいいのではないかなという気がしているのです。やはり、懸濁粒子が連続して安定なセン断抵抗を受ける空間を自由体積として定義して、全体積から有効体積(粒子+粒子とともに流動する液体)を引いた自由体積を使ったきれいな式で、考え方もわかりやすいからです。本か何かにするときにはそちらに書き換えた方が良いのではと思います。
(中石) 僕もそういうふうに思います。森・乙竹の粘度式は、ニュ−トン粘度の法則を出発点にして論理展開していますし、有効体積と自由体積の物理的定義もきちんとしていて、希薄系から濃厚系まで適用できる優れた粘度式なんですね。ぼくは、そのご指摘は非常にいいと思います。ただ、濃厚系の粘度式は、構造破壊や粒子間の相互作用が絡んでくるので、なかなか体系的にとらえられているケースが少なくて、実用上などの面から経験的な式を提案するというのが一方であるのです。講座で紹介している粘度式もこのような類のものになるかと思いますが、基本的には粘度と試料濃度の関係は森・乙竹式と似通っています。また、他の理論的な式として有名なものは
Vandの式ですが、パラメーターが多くてそれらの決め方も難しい上、物理的なイメ−ジもわかりにくくなっています。そういう意味では、僕も森・乙竹の粘度式は大変よいと思います。
(溝口) ほかにございませんか。
(松本) 初歩的なことかもしれませんが、中原さんのところで……。
67ページのカオリナイトとハロイサイトというところで、1対1の粘土ですと永久荷電が出ないのはなぜですか。その説明が入ってなかったんですが。水素結合があるから中に水が入れないのか、中に入らないから水素結合になるのか。その辺のところが聞きたいのです。(中原) 実験の にカオリナイトの方程式があるのですが、 実際には ありそうなのはほとんど鉱物が 。カオリナイトも中にはないけれども、表面一番外の層にはあるのではないかと 原因に関しては南條さん 。
(溝口) ご指名ですけれども、何かコメントはございますか。
(南條) 今、中原さんが説明されていましたように、論議のあるところなのです。理想構造式を書くと、ハロイサイトもカオリナイトも同系置換が合いますが、現実に合うものは同系置換がどこかにあって、一定荷電という均一に移動しない荷電が少し発現する。和田コウジさんの教科書にも、そちらの現実のCCの値、一定荷電の量というようなニュアンスで、不等式で変位荷電より一定荷電が少ないといった表現で書いてあったと思いますが、こういうような状況なのです。シリカは4価ですが、そこにアルミニウムが入るタイプの同系置換を別にこういう構造に関係なくとってもいいわけです。ただ、それをバランスするチャージが、カオリナイトの場合は層の中に入れないですから、困ってしまうわけです。ですから、一番外側につけておくしかないわけですが、ハロイサイトの場合は、水の入る層がありますから、無理やり入る可能性があるかと思うのです。ハロイサイトの場合は、先ほど少し申し上げましたように、別な問題もありまして、これは解決されていないのですが、カリウムイオンやアンモニウムイオンと親和性が高いのです。これは和田さんが指摘されたことです。これはなぜかというのは、バーミキュライトのように、ちょうどケイ酸塩層のところに穴があいていまして、そこに脱水したカリウムイオンやアンモニウムイオンがはまり込んで安定だという説明が、ハロイサイトの場合は成り立たないのです。それに対して、仮説がまた幾つかあるのですが、1つは単純な仮説で、全体としては1対1の層になっているけれども、部分的に2対1型の層があるのではないか。それでバーミキュライトのように、ちょうどサンドイッチできるところがあるのではないかというのが1つの仮説です。決着は今、私はないと思っています。ただ、それにしては、選択性が非常に高いのです。カリウムやアンモニウムは。
??(中原さんか平舘さん?) ハロイサイトの 。
(南條) それはわかりません。ハイチャージハロイサイトというのがありますね。
40センチ。あれに顕著な量ですね。福井のセシウムイオンでイオン交換の実験をされたイタミ君のデータなどは、もしかしたらそういうものの説明につながっていくことになるかもしれないですね。塩吸着のような形のデータを出していたのですが、セシウムイオンと塩化物イオンと両方の 塩化カリウムと塩化アンモニウムだけに特異的になぜ起こるのか、起こるかどうか、あまりよくわかりませんが、そこのところが仮説につながる事実かもしれません。そういう面があります。カオリナイトはかなりわかっていますが、ハロイサイトはもっとわからない点があります。(溝口)内圏錯体などにからんで平館さんか山口さん、何かコメントはないですか。今のお話について。
(平舘) 今の話とは関係ないと思います。イオン交換 。
(中石) カオリナイトは、今言ったように、いくつかのタイプの同型置換がありますね。僕は、荷電をもっていることが粘土の主要な特徴だと思っていますが、そのことが粘性係数とかにどう効いてくるかというところを1つのポイントにおいて書いたのです。ところが、先ほども言いましたように、例えば粘土の量が粘性係数にどのように効いてくるかなどといった現象的な側面を見るためだけにレオロジー的手法を使うということはあっても、ミクロな構造をモデル化して、それとマクロなレオロジー的現象を理論的に結びつけるという研究が粘土の研究分野に関してはほとんどありません。高分子の分野ではちゃんとあるのですが。だから、和田さん達の研究で、カオリナイトとかハロイサイトというものはどのような形状なのかということはかなりわかってきているから、それらの粘土鉱物にどれだけ同形置換があって、どれだけ変位荷電があるかというのが定量的に把握できれば、荷電が粘性係数にどういうふうに寄与しているのかが、粘土の種類によらずある程度普遍的に予測できる可能性が出てくるのではないか。そういう意味では、同型置換による荷電量と変位荷電量がどのくらいの割合なのかを曖昧ではなく論理的、定量的に評価できる可能性はあるのかどうか、そういうことを研究なさっている方に、将来的な見通しも含めて先端ではどのような状況なのかを教えていただければと思うのです。
(溝口) 教えていただければという話が出ましたが、教えられる人がいますか。
(中石) もう少し具体的に言いますと、あるpHのときの全体の荷電量は出せるのですが、その
pH状態でエッジの部分だけではどのくらいだろうかとか、あるいはカオリナイトのできる環境によってどのような同型置換が起こるのかなどがわかれば、色々な産地のカオリナイトの荷電特性も一々はかってみてということは必要なくなると思うのですが。そういうのはどうなんでしょうか。
(溝口) 石田さん、コメントはないですか。
(西村) 九州工業技術研究所の西村と申します。あしたお話しさせていただくことになっています。エッジとフェイスの界面化学的作用を研究しています。私は実験を中心にやっているのですけれども、例えば粘土をキャステイングしただけで、層状粘土はきれいに並びます。そうすると面の部分だけを露出させてゼータ電位を測ることができます。もう1つはエッジの話です。フェイスは広いけどエッジは何と言っても面積的な制約があります。1つのトライアルとしては原子間力顕微鏡を使ってできないかということを考えております。例えば、層状の粘土をエポキシなんかの樹脂に埋め込みましてカットします。カットして、例えば、たまたまエッジの先端が出てきます。そうすると、カオリナイトなどですと、普通ミクロン程度の大きさになるのですが、そこに原子間力顕微鏡のチップを取り付けて、あるいはシリカのプローブをくっつけてイオン強度なんかを変えると、ある程度のことができるようにも思っています。明日はこのことに関連して、層状粘土の面の作用についてお話ししたいと考えています。
(溝口) 中石さん、そういうコメントでいいですか。あしたをお楽しみにということで。
(足立) 少し講座のレベルに戻したいのですが、粘土の表面というのは疎水性表面なのでしょうかそれとも親水性表面なのでしょうか?僕はそのことで和田さんに問い詰められてしまって、決着がつかなかったのですけれども、だれか疎水、親水という意味をはっきりさせることはできないでしょうか?
(中石) これは講座の
16、土の濡れとも関係していますね。(西村)タルクなんかはは同形置換がないですね。そういったものは完璧に疎水性です。水に懸濁させたときも、水の中に浮いてしまって全然混ざりません。
(足立) 極性がないから疎水性ということですか。
(西村) 極性がないからとおっしゃるが、エッジはもちろん極性がないわけだけれども、相対的にフェイスの面積が多いから疎水性と言って良いでしょう。それから、同型置換の割合が変化して言ったとき、その割合で親水性、疎水性がどう変わっていくかという問題は難しい問題です。例えば、マスコバイトマイカのクリーンにした表面で、フェイスの面に水を吸着するとパッと広がって行きます。いわゆる接触角0の状態です。それを例えば、水できれいに洗ってやって、それを乾燥させると一転して接触角が出てきます。ということで、考えますと、洗ってクリーンにした途端にカリウムイオンが洗い流されるということで、親水性とはいえないまでも、多少の疎水性が見えにくいということ。それに対して、カリウムイオンが固体表面に存在する場合には同形置換の量によると思うのですが、疎水性から親水性に変わることもあります。
(足立) そうすると、結論から言えば表面が帯電していれば、ほとんど親水性コロイドですね。けれども、
DLVO理論は疎水性コロイドの理論と呼ばています。
(西村)
DLVO理論には疎水性の概念(接触角を持つ)は入っていません。
(足立) 入っていないのですが、本を翻訳するときに、疎水性コロイドの理論、リィフォビックコロイドという用語を使っているんですが。
(佐々木) それは液体が、いわゆる粒子の中に入り込むか入り込まないかという意味で分けているのです。例えば、高分子コロイドのように非常に大きな体をしていて、中に媒体がいっぱい入ってしまっていると、それで一体の大きな になっている場合には、それは疎液性といえかと言うとそうではありません。基本的には粒子の内部に液が入ってこないものを考えているのです。そういう場合には、疎水性樹脂という意味で。いわゆる濡れ性と関連した疎水親水とは、また違います。
(石黒)それに関して質問なんですが、粘土粉末を水面上に静かに落としますと、しばらく浮いて、そのうち沈みます。
(西村)具体的な鉱物名は何でしょうか?
(石黒)何でもいいのです。モンモリロナイトでもカオリナイトでも。
(西村)それはちゃんと浮いていますか。
(石黒)浮いています。科学の啓蒙書では、封入空気があるから入らないと説明していますがそういう理解でよろしいですか。
(西村)それはモンモリロナイトの場合ですと、ナチュラルなものですね。輸入のものですね。合成のものではありませんね。あまりそういう形で浮くというのは、僕自身が経験したことがないのです。ただ、有機物のようなコンタミネ―ションがあるとそれでもって水をはじくことがあるとおもいます。
(石黒)講座で、ぬれと接触角の部分を担当して、粘土のぬれについても記述したのですが、そこでは岩田さんの粘土の水分子吸着と湿潤熱の論文のデータを引用しました。粘土に水を吸着させると熱が発生するのですが、これは粘土表面が水を吸着しやすい親水性表面を持つ表れです。
(溝口)予定では6時までということですが、きょうは7時から夕食会を予定しています。きょう、6時には帰らなければいけないという方はおられますか。もし許されるならば、少し延長して議論を進めたいのですが、よろしいでしょうか。あと、せいぜい
30分ぐらいですが。では延長して議論を続けたいと思います。あと10分ぐらい、各講座に関して、個別な質問、あるいは関連する質問でもいいですから、もう少し議論を深めたいと思います。引き続き質問をお願いします。
(溝口) 恐らく議論しだしたら終わらない人たちばかりなので、先にまとめてしまおうかと思います。先ほども言いましたが、今、プログラムの2番目のところなので、この次のことに少し進めたいと思います。総合討論の全体構成の検討ということで、各
18回まではどういうものであるというのは紹介されましたので、まず、会場の皆さんから、全体構成はこれでいいかということと、欠落している点はないかという意見を述べていただきたいと思います。なぜそのようなことを言うのかといいますと、学会誌の講座として進めてきていますが、このままで終わってしまうのはもったいないという鬼編集長の意見もありますし、せっかくこれだけの出席者が集まって議論しているのですから、学会としても何らかの形でまとめておいた方がいいだろうという意見もあるわけです。まとめ方の1つとして、何かの本にするというのが考えられます。だれを対象にしたものかはわかりませんが、例えば、教科書であるとか、農業土木学会の選書という形でもいいですし、ブルーバックスなど、です。あるいは、忙しくて無理だから、科研の報告書ぐらいで済ませようということも考えられます。その他に意見があれば出して頂きたいと思います。執筆者の希望として、忙しいから僕は本を書くのは一切嫌だけれどもデータはどんどん使ってください、という意見でもいいですし、あるいは読者の方から、やはり御苦労かもしれないけれども何かにまとめてほしい、という強い要望でも結構です。そういう要望が出されれば、きっと動かざるを得ないだろうし。それらことを念頭に置いて、「
18回の全体構成はこんなものでいいのか」ということとや「もう少しこういう点も加えた方がいいのではないか」という2点について、5分から10分間、意見を交換したいと思います。足立さん、補足説明をお願いします。
(足立) きょうの計画というところにあるのですが、最初に岩田さんにお願いしたとき、講座はレビューではないのだから、できるだけわかりやすく、しかも内容のレベルを落とさずに書くのだと。みんなはそれを守らないで、内容はかなり難しいものになってしまったなというのがあります。当初の目標と、出てきたプロダクトが大分違っているんですが、それも踏まえて、何か考えてもいいのではないかと、僕は思うのですが。書き切れなかった点が随分あるという話はちらほら聞いています。
(溝口)それは最初の1人2分ぐらいの話の中で、もっと出してほしかった点なのですが、具体的にどんなところがありましたか。そういえば、中石さんは、レオロジーのところで、書き切れなかったと先ほども言っていましたね。
(中石)そのことについては、特に濃厚系の部分が足りなかったと思います。濃厚系のレオロジ−は実用的な面で土質と関連があります。藤井さんは多分、この講座で、固相率から粒子間距離が簡単に計算できるスメクタイトを使うことによって、粒子間の相互作用力を求め、ゲル構造と粒子間相互作用をどういうふうに結びつけることができるかをねらいたかったと思います。あとは濃厚系の懸濁液よりももっと濃い液性限界ぐらいでも、このようなアプロ−チで説明できる可能性があるのではないかというニュアンスで書いているのですが、土質力学の分野におけるレオロジ−の有益性を主張するには、そこのところをもう少し詳しく書かなくてはいけないと思いました。ただし、そのときに、現象と合わせるためにレオロジ−モデルを複雑に組み合わせるといった手法は結構あるのですが、それをそのまま載せてどの程度の意味があるのか疑問です。
(足立)さっきの話に少し戻るのですが、実は以前、岩田さんにそんな話がありますと言ったら、内容がちぐはぐだから、統一してやらないとだめだ。本というのはやはり売れないと困るということで言われました。確かに内容がちぐはぐで、僕はそれが個性なのではないかと思ったりもしたのですが。その辺はどうなのかと思ったことは少しあります。
(岩田)最後に言おうと思ったのですが。これを本にするという問題が、今、出されたわけです。確かにもったいないという感じがするのですが。ただ率直に言って、皆さんそれぞれが思い悩んでいるんですね。すごく易しく書くということと、研究者としてレビューに近いところを書きたいというところを揺れている。それで、いろいろでこぼこができたということなのだと思います。ただし、これをレビュー紙にしてまとめたとすれば、すごくいい本ができると思うけれども、これは市場がないと思います。あるとすれば、どこまでできるかはわからないけれども、やはり、シンポジウムの記録みたいにして、アメリカかヨーロッパの出版社から出させるしかない。そのかわり思い切って、みんなレビューにしてもらって、そのまま出すという形しかないような感じですね。日本語だと少し難しいだろうね。これは僕の意見ですから、あまりこだわらないで結構ですが。やはり、これが結果でできたのだから、成書であるかどうか僕は知らないけれども、ブルーバックスで書かせてくれたらもっといいけれどもね。だれかがこれを踏まえながら、易しく書く必要があるのです。そっちは教科書にしても、何にしても売れます。だから2本立てぐらいにした方がいいのかという感じはしています。夢みたいな話を言ってしまったわけですが、どうにか考えないと。やはり土に関してこれだけのメンバーで、これだけのものをやったということは、大変なことだと思います。だから、私はそれをどうにか生かしたいなという感じがしています。それを生かすのだったら、もう日本では無理だろうと思っています。大変ですが、そこのところをどうするか。これが私の意見です。
(溝口)まだ意見ですので、こちらはこちらでまだ……。まとめ方の1つの意見として、市場を意識して、思い切って英語に直して、どこか外国の方から出してみる。あるいは、本当にかみ砕いた形でやるか。この2つの路線が考えられます。両方やってももちろんいいのでしょうが。今のこういった路線に対して、ほかに何か御意見はありませんか。
(足立)きょうは藤井さんが来ていないのですが、科研の出版校正金ですか、あれを書かなくてはいけないのかと、藤井さんがちらっと言っていたことがあったんですが。売れない本を出版するというか。そういう科研の方ではありました。
(岩田)
50万円ぐらい出るんですか。(足立)いえ、業者から見積もりをとらないといけないのが面倒くさいなと言って。藤井さんがそういう話が出てから、おいおい考えればいいと言っていましたが。
(溝口)もう出てきてしまっているから、おいおい考えないといけないのですね。
(足立)それはそうかもしれないですね。
(溝口)岩田さんも言われていましたように、レビューとして書いてしまった人と、できるだけ易しくということをあくまで守った人とのアンバランスは、どちらのパートの方も、統一する必要があるかもしれません。
(足立)教科書は、岩田さんが言うように、1人で書いた方が話はできるし、能力もはっきりすると言ってしまえばおかしいのですが。実際に授業で少しコロイドの話をしているのですが、授業で使う内容は、はっきりいえば易しい話なのです。トピックス的には岩田さんの最初のその1とかいうものがいいのです。市場ということから考えると、教科書というのは、易しいものがないわけで、困っているということは確かですね。
(溝口)この市場についてはまた継続審議というか後で考えることにして、どちらにしても、まとめようというときに、この構成と欠落していた点ということに関してはどうでしょうか。先ほど工学的だという意味で、もう少し濃厚系の部分というのが欠落した部分としてはあったと思いますが。
(松本)僕は学生の立場からなのですが、コロイドの物理的視点というのは、大井さんが書かれていて、すごくまとめられていたのですが、南條の方で化学はやっていないということも なのですが、もう少し化学的視点というか、反応する過程とかも。コロイドという物理的な方が強くて、化学的な一般的、基礎的なところで、少し他の教科書を見ないと追えないところもありました。専門家の人だとわかると思いますが、学生からは少し化学的な方が……。
(溝口)コロイドサイエンスの中に、このフィジックスに関する部分もあるけれども、ケミストリーの部分をもう少し重視させるという理解でいいですか。
(松本)そうです。
(溝口) コロイドという中で……。熱力学をどうか……。重量エネルギーとか抵抗係数とか……。むしろ、化学反応の部分ですか。大井さんの中で拡散のああいった物理的なところはカバーされているけれども、やはり、せっかくケミストリーの人たちがいるのに、化学反応のところの基礎的な説明がないのは、確かにバランスとしてはもったいないかな、落ちているかなという気がしますね。欠落していた点としては、その化学的基礎ですね。ほかに何か御指摘はありませんか。
(山口)私は、ちゃんと読んでいないので申しわけないのですが、読まないで、この「土のコロイド現象に関するワークショップ」というのだけを見て質問したいのですが、イメージとして、「土の」とつく点で、土には物理性があって、化学性があって生物がいるという、その3点があると思うのです。生物の細胞表面でもコロイド的な働きをしているわけですし、そういう部分があると、全体に土のコロイドというものをあらわせると思うのですが。私は書けませんが……。
(溝口)これは実は、石田さんが入れようと思っていた部分でもありますね。
(足立)そういう意味では有機物ですが、生物ではないです。
(溝口)「土の」ということで、物理、化学、生物的なニュアンスということで、細胞回りもあるというところを少し入れる必要があるのですか。どうでしょう、扱いますか。
(山口) 細胞で限定するということはあまり考えないのですが、今、欧米では土壌化学分野では、傾向として、化学にとどまっていても、 見えていて、化学 だんだん生物として 。その辺が頭にあったもので、印象として関連があると……。
(溝口)確かに、このグループの中では、そういう意味では生物屋さんはあまりいないですね。
(足立)生物屋さんをつくらなければいけない。
(溝口)中原さんが生物屋さんに一番近いのですか。
(中原) ―― ではないですが、手法的に生物の部分はとり入れる、 。(山口)情報 細胞の近くでやってきた情報と 。
(足立) 生物コロイドと東北大の服部さんたちがやられていますが、少し違いますね。
(平舘)― 土屋です。植生管理科にいるので、少し生物に関連があるので紹介させてほしいのですが。何かの病気の菌だと思うのですが、病原菌が土壌に入っていくと、当然、寄主となる植物が植えられると。微生物が病原性を出して病気になる、普通に見られる現象ですが、火山灰土壌では、その菌がアルベニ に吸着して、そのために病原体で 現象は知られています。テーマがコロイドになっていますので、広く生物を扱おうとすると、少しとりとめがなくなりますが、そういう事例を紹介するところがあってもいいのかなと思いました。
これとは別なのですが、全体の構成の検討ということなのですが、私が最後に になったときに、全体のコンセプトが少しわかりにくかったのです。あるところでは非常にわかりやすくやっていますし、あるところではクンシキンの流動のところを詳しく説明していたりで、僕はどっちにしたらいいだろうかと、結構迷ったところもあります。もしこれをこのまま本にすることになれば、その辺を検討しなければいけないと思います。本を出すときも、どういうコンセプトでまとめていくのかを、まず決めておけば、それに対して自然にいくのでしょうが。コンセプトのところを、まずしっかり決めておいてほしいなと思いました。そうすれば書きようもあるかと。
(溝口) 1つは生物に絡んだトピックス的な何かを紹介するといったものを加えることは可能だと思います。2つ目はコンセプトということで、やはりこの2点のうち、どちらでやるかということを決めれば動くということですね。
(大坪) 今、聞いていて思ったのですが、土のコロイド現象ということに、2つのキーワードがあるわけですね。コロイド現象というのと、土というものの2つがあるわけです。では、どちらが先にあるかというところから見ると、コロイド現象を扱う部門というのは、いろいろな分野の人が扱っているわけです。例えば、無機物を扱っている人は、土の粘土鉱物というのは単なる1つの材料として扱って、コロイド現象というのはメーンにある。その中のカオリナイトにしても、そういう鉱物というのは何でもいいのです。そうではなくて、まず最初に土がある。土があって、その次にコロイド現象が出てくる。どっちなのかという気がしたんです。土ということが最初にあると、土というのは非常に単純ではないわけです。それこそピュアな鉱物粘土だけではないわけです。ただ最初にそれがあって、そしてそこにコロイド現象が出てくるという、そのあたりがどうももやもやとして、私自身も書くときに、ほかとの整合性というのがどうかと思ったのです。例えば、無機物ということで、鉱物粘土で統一すれば、それはそれで非常に大きな意味が出てくるのかと、そのあたりをどう考えるのか……。
(溝口) キーワードとして、土のコロイドが1つなのです。コロイドだと、これまでにいろいろなことがあるわけで、やはり、土のコロイド、土壌コロイド、どの言葉が適当なのかわかりませんが、土コロイドというのは守っていかないと、このグループの独自性は出せないでしょうね。
(大坪) どこがどういうふうに土を出しているのかというのは、やはり検討する必要があるのかと。
(足立)インダストリーの方では、これよりいっぱいコロイドをやっているので、むしろナチュラルコロイドと言うのを、つまり土ですね、それを前面にだしていけばよいのではないかと思います。だから両方でくくる必要があります。その中で関係しているところをやればいいと思います。結構安易ですが、オリジナリティーは十分出せると思います。
(溝口)常に執筆者は土を意識した上で、コロイドをまとめていく。だれだったか、僕には土というキーワードが2カ所しかないとか。そこは何とか土を意識した書き方というか、見直しをしてもらうと統一がとれるかという気もしますけれども。
(足立)向こう(外国)のレビューでは、コロイドから、例えば、長崎さんがやっているような分野のレビューがあるわけです。ほとんどがコロイドだけでやりながら、土も入れてくるというスタンスができています。全体的にそれが入っていればいいという感じはするのですが。ですから、僕は1人で走ることはできないけれども、ある程度ネットワークをつくっておけば、分担の中で関連性が出てくると思います。
(溝口)これから新たに仲間をふやして、1からやるというわけではなくて、今、ある程度、
15回なり18回まで持っているわけだから、この中でどう微調整をして、どんなふうに持っていくかという問題なのですよね。いずれにしろ、この2つのどちらのポリシーでいくかというのを何らかの形で決めるしかないと思いますので、きょうはまだ結論は出せないと思います。一応、そういう観点で夕食会なり、あしたの討論まで保留しておいていただきたいと思います。もし、教育上の問題といったときに、先ほども意見が出ていましたように、化学系、生物系のものの基礎も少し入れてほしいということですね。ほかに何か教育上の問題で、どちらのパターンにするかというので考えれば教育上では、ブルーバックス的な、よりわかりやすくということが1つ考えられます。(足立)いろいろあって、だれを教育するかという問題もあります。僕は学部で講義していて、コロイドをネタに熱力学を教えていくという面があります。教育上熱力学はコロイドより大切な項目だと思っています。ただ、農学部の場合、教官も学生も体質的にハードな科目を毛嫌いする傾向があります。コロイドはどちらかというとハード系ですが、ワンセットで教えてしまわないと、折角大学に行ってもなんかもったいない気がします。ただ、コロイドと熱力が関係していることぐらいは教えないといけないかなって責任感を感じます。
(溝口)それは、先ほど議論にあったようにコロイドの物理部分とコロイドの化学部分の中間みたいなコロイドの熱力学みたいな形で独立させればいいのでしょうか。
(足立) 実は、石黒さんの講座、「濡れと接触の熱力学」ということで、タイトル的には大上段に構えているのですが、あれを書き始めた段階で、決定的に熱力学を知らないで書くことはできないというふうになりました。
(溝口) その部分をさらに補強するというか、そのための基礎を解説する必要は出てくるわけですね。
(足立) どこかで出てくるのですけれども。うまくやってしまえばいいかという気はしたのですが。
(溝口)教育上の問題ということで、ほかに何か、こういう教育に使いたいとか、小学生に教えたいとかありませんか。そういう意味ではかねがね思っているのは、簡単な実験を付録でも何でもいいから、土のコロイドに関する簡単な実験のような解説があればおもしろいかなと思います。例えば、このA液というところに、ぱらぱらと水に落ちたときに、最初浮かんでいるけれども、沈むのはなぜかとか、そういう攻め方も1つ考えられますね。これはどちらかというと、ウメクサ的な話になるかもしれないけれども。少しまとめ切れませんが、いずれにしろ、どちらかの方式をとった上で、もう少し事務局の方で詰めなければいけませんね。
(足立)日本語というパターンも、藤井さん方式という……売れない本の出版を安易に考えても良いかなとも思いますが、、、。僕はやったことがないのでわからないのですが。
(溝口) そういう意味では一番やりやすいのはこれですね。
(足立) レビューだけだったら、はっきりいって個人プレーですね。だから加わりたい人は入ってもらうというスタンスです。
(飯山)もし本にしていただけるのであれば、物理とか、化学とか、生物という話があったのですが、研究者の方々だと、不思議な現象を解き明かすときに、基本的なサイエンスをツールとして使っていると思うのです。でも、これから学ぼうとか、勉強しようという大学生ぐらいのことをいうと、そういうツールを1から全部自分で拾い集める。例えば、こういうコロイドの現象とかを考えるときに、どういう勉強をしたらいいのだろうというところから始めると、ものすごく時間がかかってしまうような気がします。もし、土のコロイド現象の基礎と応用の中の基礎というところで本をこしらえていただけるのでしたら、自分なら物理とか化学をこういうふうに使っているよという、物理とか化学とか生物というのを整備した本を紹介してもらえれば、学部とか大学院の人も、基礎の勉強をやるようになるのではないかと思います。
(溝口)それは、例えば、本の中で、このテーマの中では物理のこういうところが関連していますということを、少し書き加えるということですか。
(飯山)例えば、いろいろな現象というのを、まず研究するわけですね。それについて、レビューなどを送るというのは、専門家の領域なのですが、そういったことを解き明かす上で、こういう物理を使ったとか、こういう化学を使っているとか、そういうのをまとめてあげれば、コロイドを理解するために必要な基本の勉強というのは、大体こうですよというのを体系立てられると思うのですが、どうでしょう。
(溝口)教育効果という意味では、そういった関連のところをきちんと明確に出すような工夫が必要だということですね。
(石田)イメージとしては基礎と応用があって、基礎を書いて応用を書きますね。今の学生さんは多分、こういう書き方をすると読まないと思うのです。やはり彼らは応用と言うか現実的な課題から入っていく方がスムーズに勉強しやすい様な気がします。その様な指向を考慮しながら、基礎も勉強できるような形で構成を考えた方が良いと思います。なかなか難しいでしょうが。
(??)配列を変えればおもしろいかもしれません。例えば、これだけを使ってみると、それこそ炭田さんの、いきなり土木工事で使われている大きい数値から入っていって、それとのコロイド現(象の基礎とはどう関係するのかとか、少し書き方を変えるというのは確かにおもしろいかもしれませんね。
(溝口)そういう意見を参考にして、また、オニ編集長と少し相談します。もうやりたくないですか。これだけ集めてしまったので、やらざるを得ないのではないですか。次に、今度の課題ということですが、これは今のお話になると思いますので、これはまた、何らかの形で発展を考えていきたいと思います。