放射線環境科学2025

原発事故災害からの復興を考える
−福島県飯舘村を事例として−

担当: 溝口勝

(2025.12.10)  受講者16名

 出席とレポート用フォーム
講義資料 類似の講義動画@ソウル大学


このページは、講義を単に受けっぱなしにせず、自分の考えを主体的に表現し、そのレポートを共有することで自分とは異なる視点もあることに気づかせるために作成しています。
 
受講生は自分のコメントやレポートがあることを確認してください。

復興とは何か、 講義終了直後の15分内にあなたの考えを述べよ

  1. 地域の住人が,災害前よりも充実した生活を送れるようになっている状態.

  2. 私が思うに復興はもう一度あった形に完全に戻そうとするのではなく壊されてしまった環境と向き合いながら災害等の後にそこに最適な形を模索し人々が暮らすことのできる環境を構築することです。

  3. 被害に遭われた方が、元の生活を取り戻すだけでなく、被害を乗り越えた経験を糧にして前向きに新たな活動を開始することだと思いました。ICTに基づいた新しい農業のあり方だったり、醸造などの新しい産業のような新たな取り組みを知って、私自身活力を得ることができました。

  4. 一般の人でなく当事者にとって、その災害が「今」ではなく記憶になるレベルで、精神面でも物理面でも回復が進むことだと考える。

  5. 復興とは、様々な人々の協力のもと、被災地に暮らす人々が新たな希望を見いだし、被災前よりも活力に満ちた暮らしを再建する営みだと考える。

  6. 復興とは、一言でいえば、現場の人やものが元の状態に回復すること。様々な媒体を通して、被災地の情報を得ることはできるが、一方的な情報・データからわかることだけではなく、実際の現場の動き・人々が重要。現場の声に耳を傾けて、現場が回復することが重要だと考える。

  7. 何か困難なことが起こった後、"いつもの暮らし"と思える状態に変化すること。

  8. 経済・住民数・放射線量を元あった状態に戻すこと。ただし経済・放射線量は数値的に測れる値を基準にすれば良いが、住民は数自体を戻すことと住んでいた人が戻ってくることとのどちらを基準にするかは難しい。

  9. 地元に戻りたくて、戻ってきている人も多いので、元に戻し、災害前と、まったく同じ生活を送れるようにすることも選択肢の1つとしてあると思う(それを望む住民の方も多いだろう)。だが、私がが考える復興は単に災害前の状態に戻すことではない。災害前よりも、進化した状態にすることだ。被災したことは決して喜ばしいことではないが、もう一度、1から始められる、と考えられるようにすると良い。せっかく新しく始めるしかないのだから、何かをやるチャンスだ。現在日本は人口減少が進んでいる。しかし、今までの技術は、人口が増加することを前提にできている。つまり、新しいやり方が、大いに求められているのだ。AIなどの最先端技術を駆使して、日本の未来を導けるよう、新たなことにチャレンジして、進化していって欲しい。こんなことは夢物語なのかも知れないが、災害をきっかけに、これだけ進化できたのだから、結果オーライと思えるようになることを目標にしていくと良いと思う。福島の地が世界を率いる最先端の技術で、豊かになることを祈っている。

  10. インフラの整備や、家屋の再建といった物理的な再生は勿論、被災者が震災前と同じように日々の生活を前向きに送れるような精神的な再生も含めて、復興と言うのだと思った。

  11. 復興とは事故前の状態に戻るだけでなく、地域の特色を押し出して振興に繋げていくことだと思う。現在はただでさえ地方の過疎化問題が叫ばれている時代なので、reconstructionの先を見据えることが肝要になるだろう。

  12.  近年のSNSにおける偽情報の氾濫や情報リテラシーの低下を鑑みると、物理的に建造物の復旧や住民数の回復、土壌の除染を終えたとしても、経済的な回復は本当に難しい。情報戦の現代では、放射能汚染等に関する根拠に乏しい情報が世論の基盤になりうる。  「線量評価の前提条件」や「内部被曝のメカニズム」といった科学的概念は、本来リスクを適切に理解するために不可欠な知識である。しかし現代の情報空間においては、そのような複雑な科学的説明よりも、インパクトの強い単純なメッセージのほうが圧倒的に拡散しやすい。結果として、科学的評価と社会が感じるリスクとの間に大きな乖離が生まれ、それ自体が地域の農産物やブランド価値への新たな負荷となってしまう。  すなわち復興とは、単に物理的環境を安全な状態に戻すことではなく、「科学的事実が社会に正しく伝わり、共有される状態」を取り戻すプロセスであると言える。この意味で、講義で扱われた土壌の測定技術や線量モデルの理解は、単なる専門知識にとどまらず、社会的な合意形成の鍵でもあると感じた。

  13. 被災前の状態に戻すことではなく、現地の住人たちが感じる不都合を公、民、学が連携して解決していくこと

  14. 復興とは、災害や何か被害を受けた後でも、それに屈せず元の姿を目指しながら、諦めず努力していくこと。だと思います。

  15. 災害以前の環境を回復するだけでなく、また、回復が困難な面があっても、直面している状況から新たな試みや活力を生み出すこと。また、それによって、避けることの難しい災害やその他の困難に対しても地域が生き残っていく、より柔軟な力強さを得ることだと思います。

  16. 復興とは、以前住んでいた方が、震災のダメージにもめげずに再び将来への希望をもって、もともと住んでいた地域にそのまま戻ることができるようになることだと思う。ただ帰還するだけではなく、やはりその地域でその後も安全に暮らしていけるという希望をも併せ持つことが重要だと思った。

この講義で一番大事だと思ったことを書いてください。

  1. 飯館村が今まであったブランドという強みに加えて ICT 技術で新しい強みを開拓し,前よりも進歩しようとしていること.

  2. 自分の興味のある分野に対して進むことが大切だと考え、そこから社会に貢献できると考えた時に躊躇うことなくそこに尽力できたらいいなと思いました。

  3. 読んだり聞いたりしただけで満足せず、現地に実際に赴いたり、自分が体験して感じ取ったことに基づいて行動を起こすことが大切だと実感しました。

  4. 報道や論文等の情報に対する向き合い方、現地に行くことの大切さ

  5. 溝口先生が仰っていた、「東大生は頭でっかちな奴が多い」という言葉が強く刺さった。実際に現地に赴き、直接的な視点で物事に向き合うことが学問のみならず日常生活におけるあらゆる物事においてとても大切なことだと感じた。

  6. 実際の現場に足を運んで、現場の声にこたえることに意味があるということ。

  7. 現場から課題を自ら発見し、解決する学習を強化すること。

  8. 現場の本当の問題は現場に行かないと分からないということ。

  9. 土に行ったセシウムは浅いところの泥にずっと留まっているということ。

  10. 学問に関わる者として、得た知識を用いて実際の問題を解決しようとする姿勢が最も大切だと思いました。

  11. 現場を自分の目で見て、客観的なデータを得ようとする積極的な姿勢が一番大事だと思う。

  12. 被災地の復興のためには、被災前とは異なる新たな価値の創出が不可欠だという点。

  13. 実際に体験してみたうえで頭で考えるというプロセスが大切なのだと思いました。実際に行動することで、思いもよらない課題に出会ったり、逆に考えすぎていたことに気づけたりするので、実際に動くことと頭で考えることの優先順位を逆にしてはならないと感じました。

  14. 自分の中で勘違いをすることだと思います。人間はやる気があれば、結構色々なことができるので、自分のやる気を引き出すために、自分ならできるだとか、自分にしかできないなどとある意味"洗脳"させることも必要だと感じました。

  15. 知識や経験を基に、新しい試みへ向かってためらわず実際に行動することが一番大事だと思いました。

  16. 自分の目で現場を見に行くこと(従前から大事だとは思っていましたが、改めて感じました)

この講義を受けての質問や感想

  1. 東京で生まれ育った人間の中には地方で起きる災害や,災害からの復興の過程を他人事と捉えてしまうような人が一定数存在する.私もそうはならないように心掛けているものの,無意識にそのような態度を取ってしまったことがあるかもしれない.そのような人が多くなると災害が起きたときにデマや風評被害に惑わされて誤った判断を冒したり,当の東京が災害に襲われてしまったときの復興に支障が出かねない.だからこそ,福島に限らず色々な復興の事例を積極的に知ろうとして自分ごととしてもしものときに備えることが将来に繋がると認識した.

  2. 先生が凍土やデータサイエンスなど様々なことに興味を持って、それら全てが繋がって新たな発想や企画が立ち上がっていくのが本当にドラマチックで、非常に興味深く思いました。 自分は、何かを始めるか検討するときに、「うまくできるかわからないし‥」「向いてないかも‥」と悩んでしまうことが多かったのですが、先生のように全く新しい分野にも踏み込んでみれば、今までやっていたことと結びついてきたりするのかなと新しい気づきを得ることができました。自分のパッションを大切に、もっと色々なことに挑戦してみようと思います。素敵な講義をありがとうございました。

  3. 講義でも触れられていた、地方と中心の事故に対する情報の捉え方の相違について、私自身日々の生活の中で感じることも多いのですが、この問題に対するアプローチとしてどのようなものを取るべきだとお考えでしょうか?
    -->地方に関心を持ち続けることですかね。

  4. 飯舘村をはじめ、福島の被災地の現地の方々との交流の中で大変だと感じたこと(衝突や軋轢など)は何でしょうか。
    -->村役場の人と意識の違いにいつも苦労しています。

  5. 現地に行って自分の足で実験し、理解することの大切さを実感した。農家自身でできる農地除染法の開発は現地に行って農家に寄り添わないとできない事で感銘を受けた。

  6. 本旨からはずれるのですが、溝口先生がインターネットに興味を持っていてそれが後々大いに役立っているのを見て、やはり専門外のことにも興味が持てればチャレンジするものだなと感じました。
    -->その通り。退職した今になっても自分は本当は何をやりたいのだろうと悩みながら生きていますが、問題に遭遇した時に、そういえば昔誰それがこんなことをやっていたな、とか、あの方法が使えるかもしれないな、とか、何かしらの解決策が思いついて試すことが楽しい。

  7. セシウムは、粘土表目の穴に落ちているのか、黒雲母の隙間に挟まるのかどっちですか?
    -->良い質問です。黒雲母はカリウムイオンを介して層状になっているので「カリウムイオンとセシウムイオンが入れ替わって六員環その隙間に挟まる」が正しい。

  8. 話が面白くて、とても面白い授業でした。

  9. コミカルな語り口だったので専門的な内容も頭に入ってきやすかったです。あとご自身の人生をグラフ化しているのが某youtuberと同じで面白かったです。

  10. 明るくもリアルを淡々と語る溝口先生のお話からは、現場の最前線に立ってきた矜持を感じ、大変関心を刺激されました。ありがとうございました。

  11. 災害が発生したとき、その後の素早い対応ももちろん大切ですが、発生以前から災害に関する知見を蓄えておくことが必要不可欠だと思いました。その意味で研究は非常に有用で、なくてはならないものですが、科学的な正しさだけでは解決できない問題も数多くあるのだと再認識しました。

  12. 当時、県内のニュースでさまざまなことが報道されていました。もちろん今でも放射線量の値は毎日出ます。住んでいた身としては、そういった中にはやはり怪しい情報だったり、また周りからの様々な噂があったりしました。そのため、何が安全で何が危険かを見極める必要性があったと思いますが、今回改めて放射線に関する知識を正しく持つことの重要性を感じました。また、福島は復興の最中ですので、同様に私も成長していきたいと強く思います!

  13. 溝口先生が凍土の研究をなさっていたことが除染法の開発に役立ったことも、飯舘村の再生が新しい農業に取り組むチャンスとなったことも、後から因果関係をつけることはできますが、実際今取り組んでいることや行われていることが将来どうなっているのかは予想できないもので、めぐり合わせによる部分も大きいのかもしれないと思いました。同時に、溝口先生や関係者の方々が実行に移したからこその現在であり、知識や経験をどう次の行動につなげるかが重要なのだなと感じました。

  14. ・震災遺構を訪れる際にプランを立てる際にはインターネット上のリサーチだけではわからない点も多くあり、やはり実際に訪れて現場の景色を見ることは、東京にいるだけではわからないことを得られるという点で重要だと思った。実用的な面での話にはなってしまうが、歩けると思った道がダンプカー専用道と化していたことにはびっくりした(なぜダンプカーが行き来しているのかというと土をはぎ取って中間貯蔵施設に集めているからなのだが)
    ・福島県の誰もいないところ(だけど合法的に入れる場所)を歩き回っていたら警察に職務質問をされるという経験は僕も経験したことがあるので、とても共感できた。警察だけでなく地域の役場の人等も無線を共有していて、やはり人がいなくなってしまったということで治安等の面でやはり不安が大きいのだと感じた。
    ・【質問】携帯電話回線が飛んでいない地域にネットワークを整備する際には、どのような技術を使用しているのでしょうか。
    -->フィールドを対象のメッシュネットWiFi技術です。電波法の関係で2.4GHzのWi-Fiをフィールドで展開する。基本的にフィールドには電源がないのでソーラーパネルでアクセスポイントの電力を確保しています。

レポート

(昨年の例)

参考: 同じような内容の講義を聞いた他クラスの学生の感想


関連ページ:


ホームページへ戻る( 溝口勝, 国際情報農学研究室, 農学国際専攻, 農学生命科学研究科, 東京大学
 
mizo[at]g.ecc.u-tokyo.ac.jp
Update by mizo (2025.12.16)